2019年 10月 15日 (火)

「子宮移植」で子どもを産む時代に! 代理出産も認められない日本は世界の最先端不妊治療とどう向き合うか

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   夫婦の5組に1組が不妊治療を受けている不妊大国・日本。体外受精、卵子凍結、代理出産といった治療法に、新たに子宮移植が加わり、世界で11人の新しい生命がすでに誕生している。

   「どれだけお金がかかるのか」「精神的にも肉体的にも疲れる」という不妊の悩み。第三者の子宮に受精卵を入れる代理出産も日本ではまだ認められていない。そこに子宮そのものを移植する新たな選択肢が加わった。この最先端技術と、私たちの社会はどう向きあえばいいのか。

生まれつき子宮がない女性が、母・姉妹の子宮で子を産める

   子宮移植先進国のスウェーデンを取材した。子宮移植によって世界で4番目に生まれたキャッシュ君(2018年6月で3歳)の母、ロリータさんは子宮がないロキタンスキー症候群だと14歳の時にわかり、「なぜ私が」と日記に書いた。「悲しく、孤独だった」という。

   ロリータさんは7年前、首都ストックホルムから500キロのヨーテボリ大学病院でのちに世界で初めて子宮移植に成功するマッツ・ブランストローム医師の説明を初めて聞いた。臓器提供は、子ども4人を産んだ38歳の姉に頼んだ。子宮を提供するドナーは高齢で出産経験のある人が適するといわれ、母親や姉妹のケースが多い。

   10時間以上の移植手術をへて、ロリータさんは帝王切開でキャッシュ君を産んだ。「言葉にできないぐらいうれしかった」そうだ。産後に子宮は摘出するが、免疫抑制剤を飲む必要もなく、母体に問題は起きない。

   この4月(2018年)、ブランストローム医師の診察を受けていた女性は「リスクは知っていますが、医療チームを信頼しています」と話した。見学に訪れていた慶応大学の木須伊織医師は「日本ではまだ議論段階で、社会的に認められる必要がある」という。

   関西に住む30代女性はロキタンスキー症候群と診断された。「産めるのなら産みたい」と思いつづけ、期待と不安の日々を過ごす。ロシアで代理出産したフリーアナウンサーの丸岡いずみさんは「日本でも症例があればトライした可能性はある」と話す。

   京都大学の菅沼信彦名誉教授は「日本でも研究は10年前から進めてきた。産科や小児科など幅広い医療が必要で、社会的コンセンサスもいる」と指摘する。

高額の不妊治療費、職場の無理解から仕事を辞める日本の女性

   日本の不妊治療には切実な声があがっている。

   高額な医療費。2年余り続けている女性は、仕事との両立が難しく、今年3月に仕事を辞めた。これまですでに200万円がかかった。「どうして保険適用にならないのだろう」という思いだ。

   別の40代女性は治療6年、職場で理解されずに辞めるしかなかった。「社会から孤立する。子どもを見るとつらい」という。

   スウェーデンでは法的サポートがあり、治療費の原則無料に加えて、薬代は30代カップルで2万8000円まで、それも36歳以下なら保険適用されて実質無料だ。「おばも、妻の妹も不妊治療で出産した」「秘密にすることではない」と、周囲からはごく普通のこととして理解される。

   取材した田中泉アナは「治療を受ける人が前向きで、当り前の感覚です。制度が安心感につながっています」と話す。

   日本は、検査は保険が認められても、高度生殖医療にはまだ適用されない。丸岡さんは「代理出産や子宮移植の権利を認めるようにするのが一番です」、菅沼名誉教授は「患者が話し合う環境はできつつある」と話す。

   「当事者だけでなく、社会全体で向き合う必要がある」と武田真一キャスターが強調する医療技術は、いま日進月歩だ。保険その他の制度が遅れるのは、社会の無理解か、政治の怠慢か、議論を急がなければいけない。

   ※NHKクローズアップ現代+(2018年5月7日放送「ここまできた不妊治療!? 〝子宮移植〟でこどもを...」)

   

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