2018年 10月 21日 (日)

2年後「認知症恐れのドライバー」10万人超の非常事態!医師判定なければ免許更新

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   先月(2018年5月)、神奈川・茅ヶ崎で90歳の女性ドライバーが起こした死傷事故で、高齢ドライバーをめぐる論議が再燃した。彼女が法定検査をクリアして、免許を更新したばかりだったからだ。

   昨年3月(2017年)の道交法改正で、75歳以上の免許更新で課せられた「認知機能検査」の結果が発表された。今年3月までの1年間で「認知症の恐れがある」と判定されたドライバーが5万7099人もいた。医師の診断で認知症と判定されると免許取り消しとなる。これが1892人だった。ということは、5万5000人は免許が更新されたということか。

   他に「認知機能低下の恐れ」という判定もある。これは、3時間の講習を受けると免許が更新されるのだが、去年1年間に死亡事故を起こした高齢ドライバー385人のうち、4割がこれに該当していた。75歳以上のドライバーが起こす死亡事故の割合は、年々高まっている。平成19年は8.2%だったが、29年には12.9%になった。

   立正大学の所正文教授は「5万7000人は驚くべき数字です。2、3年で10万人を超えるのではないか。受検者200万人の3%弱ですが、この割合は変わりません。受検者が増えれば、当然増えます。また『低下』の4割が死亡事故というのも驚きです」と話す。

自治体は「免許返納」支援――生活サポートや健康カウンセリング

   免許の返納がなぜ進まないのか。埼玉・川口市の下川時男さん(82)と家族に聞いた。2年前、車体をこする事故を起こし、義理の娘から「免許返納」を勧められた。

   武田真一キャスターが「その後どうなりました?」と聞くと、「4月の更新で、85歳まで運転できます」「車を使わないと生活がうまくいかない」という。足を悪くした妻の通院や買い物に毎日ついて行く。週に2、3回、好きな釣りにも行く。家族は気が気ではない。

   所教授によると、「危ないから止めろ!」といってもダメ。運転を止めた後の生活を、家族で一緒に考える必要があるという。下川さんは家族と約束していた。(1)暗くなったら乗らない(2)遠くにはいかない(3)スピードは出さない――の3つだ。下川さんは「80~90%は守ってる。遊びでは多少遠くまで」と笑う。

   免許返納後を町ぐるみで支援して成功しているのが佐賀市だ。「地域包括支援センター」を立ち上げ、地域の送迎の手段を確保した。財源は寄付とふるさと納税だという。東京・調布市は返納した人たちがアドバイスをしたり、新たな生きがいを一緒に考える場をもっていた。

   所教授が2015年に熊本から始めたシステムもある。免許更新の会場に看護師や保健士を置いて、健康カウンセリングや地域の交通手段の相談に応ずることで、返納の実を上げた。大分、宮崎、鳥取にも広まったという。

   技術面からは安全運転サポート車(サポカー)がある。自動ブレーキ、誤発進防止、車線はみ出し防止などを各メーカーが開発している。国は2020年までに9割の普及を目指すという。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年6月7日放送「90歳事故で議論再燃!?高齢者の運転どう考える」

文   ヤンヤン
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