<パンク侍、斬られて候>
クドカンワールド炸裂!綾野剛、浅野忠信が尻丸出しで乱舞、数億匹の猿との戦
町田康の小説を原作に、主演・綾野剛、監督・石井岳龍、脚本・宮藤官九郎で映画にした。北川景子、染谷将太、浅野忠信、永瀬正敏、國村隼、豊川悦司も登場する賑やかなエンターテイメント時代劇だ。
話は江戸時代。主人公の浪人・掛十之進(綾野剛)は黒和藩に召し抱えてもらおうと、重臣・内藤帯刀(豊川悦司)に宗教団体「腹ふり党」が攻めてくると嘘をつくのだが、内藤はこの嘘をライバルの重臣・大浦主膳(國村隼)の失脚に利用しようとする。しかし、「腹ふり党」はとっくに消滅していた。引っ込みがつかなくなった十之進は「腹ふり党」をでっち上げ、黒和藩に大騒動が起こる。
さすがクドカンと思わせる登場人物たちの豊かな個性で、冒頭から笑わせる。大浦主膳の使いっぱしりの幕暮孫兵衛(染谷将太)は緊張するとすぐに気絶してしまう。腹ふり党の再興を狙うのオサム(若葉竜也)は超能力をもち、教祖の茶山半郎(浅野忠信)とろん(北川景子)がそれを率いて、以前にも増して勢力を拡大してしまう。ついには本当に黒和藩を脅かし、それが猿回しの猿ジウス(永瀬正敏)と、仲間の数億匹のサルとの戦に発展する。
バカになって楽しむ真夏のエンターテイメント
そもそもがウソから始まった話だから、十之進も教組の茶山も「なんでこんなことになっちゃったんだ」と戸惑っている。戸惑っているが、ここまで来てしっまったらウソを続けるほかない。腹ふり党の『教え』だって、嫌なことは腹を振ってばかになって忘れようといういい加減なものだ。
この映画、もう細かいことはどうでもいいのである。ナレーションの猿のジウスも、「猿の自分がしゃべり、バカと戦っているというのが、そもそも問題だ」なんて言う。最後は人も猿も花火となって、派手に散っていく。