2020年 11月 29日 (日)

待ったなしになってきた「マンション危機」タワマンは修繕費不足、老朽物件は空き室だらけ

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   都心に続々建つタワーマンションは働き盛りの世代に人気だが、一方で古いマンションには空き室が増え、修繕費の滞納や老朽化が進行する。新築人気と高層化の中で「ひそかに進む異変」(武田真一キャスター)は深刻だ。

   東京都渋谷区のJR恵比寿駅近くにある築40年マンションには、郵便受けにテープが貼られ、電気やガスのメーターが止まった部屋がある。販売や賃貸情報に載っているのは1戸だが、不動産市場に出回らない空室が6戸もある。空室情報収集の民間調査員は「もったいないなあと思います。新築がぼんぼん建つのにねえ」と語る。こうした「埋もれた空室」は、東京23区内に5000戸とも推定されているが、それも氷山の一角ではないかという見方もある。

   新宿区にある築30年、最寄り駅まで徒歩6分のマンションの管理組合理事長は、いつの間にか空いている部屋に気づいた。電気のメーターが4年前から止まっており、「給水停止」の張り紙もあった。「階が違うと全然会わない。面識もない」と理事長が言う所有者は、4年半も管理費を滞納し、未収金が130万円近くにのぼった。

   相談をうけたマンション管理士が登記簿を調べると、所有者は女性で、20年前に購入していた。息子を探し当てることはできたが、「母は4年前から田舎に戻っていて、管理のことはわかっていない状態。売る気はなく、自分もそのままにしている」という。滞納管理費をめぐって話し合いがつづいている。

   「管理組合は理事といっても素人で、むずかしいですよ」(理事長)、「入院したり、老人ホームに入ったり、なかには亡くなった所有者もいます」(管理士)という状態が多くなった。

水漏れしても所有者は死亡、子どもたちは相続放棄

   国土交通省が今年(2019年)4月に発表したマンション総合調査によると、2018年度に70代が世帯主のマンションは22・2%と20%を超えた。高齢化で問題になるのが、世代交代の相続放棄だ。ローン返済の義務からはずれ、所有権は宙に浮く。

   マンション管理士組合の若林雪雄副理事長が相談を受けたマンションは11階から水漏れしたが、所有者は5カ月前に死亡、親族には「相続放棄したので関係ない」と言われた。結局、管理組合が修繕費60万円を負担した。

   こうした空室を売却するには、弁護士に依頼して家裁に申し立てが必要で、100万円ほどかかる。売れても、所有者に借金があると清算に充てられ、全額は戻らない可能性もある。

   建て替えにも所有者の5分の4の同意が必要だ。空室所有者に連絡をとろうとしたら、住所が中国上海になっていた例もある。若林さんは「誰がどう処分するのか、重い問題」という。築30年を超すマンションは今後20年で3倍に増える。

   経済ジャーナリストの荻原博子さんは「マンションは少し前までは、値上がりを待って、一戸建てに移る仮の住まいでした。値上がりしなくなったので、ずっと住むしかない。住民もマンションもダブル高齢化です」と話す。

   不動産コンサルタントの長嶋修さんは、マンションは鍵1本かければ内側がどうなっているかわからない点を指摘する。「住んでいるのかいないのか、所有者もわかりにくい部屋が増えると、管理そのものができなくなります」

   修繕費滞納の時効は5年。マンション管理士の深山州さんは早めの対応が重要と強調し、空室を「管理会社まかせにしない」「登記簿を取り寄せる」「弁護士に相談する」ことをポイントにあげる。

文   あっちゃん
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