2019年 7月 23日 (火)

<長閑の庭>(NHK BSプレミアム)
橋本愛の芝居の巧さに感服!「いだてん」の下町おきゃんと対照的な純情大学院生もまたチャーミング

印刷
ロート製薬が開発した糀でできたクリーム。500円モニター募集!

    久々に上質なラブストーリーを堪能させてもらった。

   ドイツ文学を専攻する23歳の大学院生が、40歳も年の離れた大学教授に思いを募らせ、「恋とはなにか」を哲学的に考え、答えを模索するものだ。ヒロイン・元子を演じるのは橋本愛。彼女はいつも黒い服を着ていることから、シュバイツさん(ドイツ語で黒のこと)と呼ばれている。

   人と接するのが苦手で、恋愛経験もゼロ。本当は可愛いものが好きな女の子なのだが、自分には似合わないと決めつけ、黒い服しか着ない元子は、ゼミの飲み会などでも所在なげである。いまどきの学生たちの中では確実に浮いた存在だ。

田中泯の教授 ちょっと老けすぎじゃないか

   そういう自分を直したいと思っている元子を、教授はこう諭す。「自分の人生は他人に合わせたり、他人に評価されるために存在しているのではないのだから、自分の価値観を大切にすべきだと私は思う。それに、それは君の良さでもあるんじゃないかな」

   さらに、「君の論文には実直さが感じられる。でも、それだけじゃない。キラリと光るユーモアがあって、君の日本語は美しい」とも言う。自分という存在を認め、褒めてくれた教授に恋心を抱くのは当然か。押さえきれなくなって、秘めたる思いをぶつけたが、「それは恋ではない」と否定されてしまう――というストーリーだ。

   橋本愛は朝ドラ「あまちゃん」のユイちゃん、そして、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では、きっぷのいい江戸下町の遊女・小梅を演じているが、チャキチャキな小梅と元子のギャップが凄く、どちらもチャーミングで、あらためて巧い女優さんだなと感心した。

   榊教授を演じるのは田中泯。原作を読んだ時に想像していたのは、もう少し若いイメージだったが、今の60代の俳優で、威厳のあるドイツ文学の教授に相応しい人がいるかと言えば、なかなか難しい。適度に枯れた雰囲気を出せるかと求めれば、それも微妙だ。そう考えると田中でよかったと考えるべきだろう。寡黙で威厳のある感じは、田中でしか出せなかったと思う。

寡黙なのに情感豊かな台詞――昨今珍しい心地よい余韻

   「自分の教授への思いは恋なのか、それともただの師弟愛なのか」と悩み、「もっと教授と距離を縮めたい。そもそも教授は私の感情を認めただけで受け入れるわけではなくて。ではこれ以上何を努力すれば・・・」などと、揺れる乙女な心の声がなんとも可愛い。

   元子も教授も寡黙なので、台詞も極力少なく、だからこそ言葉に重みがあり、心に残る。音楽も優雅で、ゆったりとした雰囲気。昨今の浮ついたドラマにはない、心地よい温かさに包まれたドラマだった。

   元子に恋する助手・田中(工藤阿須加)や、その田中に恋する元子の友人・樹里(中村ゆりか)、榊の元妻(斉藤由貴)など、脇役もそれぞれ役柄に合っていてよかった。

   くろうさぎ

今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!

注目情報

PR
J-CAST会社ウォッチ会員向けセミナー
しごとの学校
  • 「無期転換ルール」、新たな「働き方」は軌道に乗っていますか?

  • 追悼
    J-CASTニュースをフォローして
    最新情報をチェック
    電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中