2019年 10月 20日 (日)

ジャニー喜多川の功績は認めるが褒め過ぎじゃないか・・・週刊文春の「セクハラ報道」触れたのは朝日新聞だけ

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   今週最大のニュースはジャニー喜多川が亡くなったことだろう。享年87。なにしろ、朝日新聞が1面で取り上げ、社会面でも彼のこれまでの功績を長々と書いたのだから。スポーツ紙は全紙、1面全部を使って報じた。「キムタク『ゆっくり休んでください』ジャニーさん天国へ」(日刊スポーツ)、「SMAP 嵐・・・帝国築いたアイドルの父 ジャニー喜多川さん逝く」(スポーツニッポン)など、最大限の賛辞を贈った。

   残念ながら、週刊新潮も週刊文春も締め切りに間に合わず、誌面には載っていない。もしかすると、週刊誌嫌いだったジャニー喜多川が、両誌の歯ぎしりする日を選んで逝ったのかもしれない。

   もちろん、彼が芸能界に果たした多大な功績を疑うわけではない。僧侶だった父が布教のため渡ったロスで生まれ、一度日本へ戻り、その後、ロスへ行って、米軍の一員として朝鮮戦争に派遣されるなど、波乱の青年時代を経験した。

   日本に再び戻り、「ジャニーズ」を結成して、次々にスターを輩出し続けた彼の手腕は、戦後芸能史を語るうえで欠かせない重要なものだったと、私も思う。

   だが、いくらなんでも、手放しでほめ過ぎるのではないか。誰しも、87年も生きていれば、他人に触れられたくない過去が一つや二つはある。私が読んだ限り、朝日新聞(朝日新聞DIGITAL7月10日)だけが、<1999年には所属タレントへのセクハラを「週刊文春」で報じられた。文春側を名誉毀損(きそん)で訴えた裁判では、損害賠償として計120万円の支払いを命じる判決が確定したが、セクハラについての記事の重要部分は真実と認定された>と、彼の陰の部分に触れていた。

   週刊文春の記事を遡ること18年前、週刊現代にいた私が、ジャニー喜多川の"性癖"について報じた。その記事が出た後、ジャニーズ事務所は「講談社の雑誌には今後、うちの事務所のタレントは出さない」と通告し、社内は大騒ぎになった。

   結局、社は、私を婦人倶楽部に急遽、異動させることで事務所側と和解した。まだ30代半ばだった私は、そんな講談社のやり方に嫌気がさして、本気で辞めようと考えた。相談した劇団四季の浅利慶太の助言で、辞めることを思いとどまったが、ジャニー喜多川の死を伝える新聞、テレビを見ていて、往時のことを思い出していた。

   人は、棺を蓋いて事定まる。ジャニー喜多川の真の評価は、これから始まると思う。

「貴景勝」大関陥落より深刻・・・父親のご祝儀持ち去り、親方への恩知らず

   貴乃花関連の記事が目立つ。週刊新潮が、貴景勝が6月16日(2019年)に大々的に開催した「大関昇進披露宴」のご祝儀金を、貴のパパが会場から持ち帰ってしまったことを報じている。週刊新潮によれば、当日は2000人が集まったといわれ、売り上げは4000万円はあったのではないかと、貴景勝が所属する千賀ノ浦部屋の関係者が話している。事実だとすれば、相撲界を揺るがす大事件だそうである。

   なぜなら、こうしたパーティーは力士の名前を冠して行われるが、あくまでも相撲部屋が主催し、相撲協会もバックアップするから、収入は力士個人のものではないというのが、この世界の常識だからだ。部屋と力士の取り分は、親方6対力士4というのが相場らしい。それを無視して、なぜ、貴景勝のパパはカネを持ち去ったのか。

   週刊新潮が直撃すると、貴景勝のパパ、佐藤一哉が「嘘を言う人は、刑事告訴しますよ」と物騒なことをいうのである。パパのいい分は、パーティーの1か月半ほど前に部屋の親方のところへ行き、「親方にはいくら持って行きましょうか」と聞いたところ、親方が、「要らない」といったというのだ。

   ところが、パーティーの5日前になって、今度は「ご祝儀金はうちで持って帰ります」と親方から電話があった。だが、当日は、ホテルでカネを数えていたら親方は帰ってしまったという。貴のパパはそこに警備員と税理士を連れていったというから、最初から持ち帰るつもりだったのではないか。その後、ホテルの使用料や、部屋から来た諸経費の請求を払ったから、手元には1000万円程度しか残ってないという。

   パパの振る舞いも「慣例破り」で問題だが、さらに問題は、貴景勝が「おかみさんが親父のことをボロカスにいって、それを信じている部屋の奴がおるから、奴らとは口をきかない」といっていることである。だから部屋のチャンコは食べないそうだ。今場所は休場して、大関から陥落してしまったが、将来を慮り、休場を勧める親方に、貴景勝は頑として首を縦に振らず、説得するのに4時間以上かかったという。

   千賀の浦親方は、貴乃花部屋がなくなるために、貴乃花が、弟子たちを預かってほしいと頼み込んだのを、何もいわずに受け入れてくれた。週刊文春で、貴乃花は彼についてこう語っている。

   <「千賀の浦さんとおかみさんには、いきなり苦労をかけてしまいました。長く一緒にやってきた千賀の浦さんは、人柄もよく信用に足る方。(中略)弟子たちをまとまった状態で残すことができ、本当にありがたかったです」>

   親方の心弟子知らず。そういえば、貴ノ岩も付け人に暴力を振い、現役を引退している。貴乃花は週刊文春の連載で、「頑張ると口にしてはいけない」「過去の栄光にはすがらない」と立派な信条を述べているが、2人の弟子の振る舞いを見る限り、そうしたものは、全くといっいいほど弟子たちには受け継がれていないようである。

   貴乃花よ、思っていることを口にしなければ、今の若い者には伝わりはしないのだ。貴景勝に、相撲部屋に入った瞬間から親子の縁は切れるのだから、父親がしゃしゃり出てくるような真似はやめさせろと、ガツーンといわないと、貴ノ岩の二の舞になると思う。

「参院選」新聞各社の自民優勢予想がひっくり返りそうなある数字――低投票率が直撃

   週刊誌の参議院選予測も出そろった。各誌を見て見よう。週刊現代では政治ジャーナリストの鈴木哲夫、選挙プランナーの松田馨、時事通信解説委員の山田惠資が予想している。

   結論は、自民党の獲得予想議席数は、選挙区・比例の合計で56議席になると読んでいる。65議席を獲得して大勝した13年からは10議席前後減らすが、与党が過半数になる53は超えると見ている。憲法改正に必要な与党で3分の2にはならないが、安倍首相の命脈は保てる議席にはなるというのである。

   次はサンデー毎日。選挙プランナーの三浦博史が予想している。自民党は選挙区で43議席、比例で18議席の計61議席を獲得すると見ている。2016年の参議院選を上回り、非改選と合わせると117議席だが、単独過半数の123議席には届かない。年金問題も、閣僚たちの数々の失言も、消費税増税も、有権者は気にしていないかのようで、まさに「ほくそ笑む安倍政権」である。

   では週刊文春はどうか。7月7日に、私の住んでいる中野駅の北口で、安倍首相の丸川珠代応援演説会があった。安倍が街宣車から下りると、一部の聴衆から「安倍辞めろ」コールが起き、「会場は異様な雰囲気に包まれた」(週刊文春)という。安倍は、こういう事態に備えて、応援演説の日程を公表していない。

   なぜこの日は漏れたのか。前日の読売新聞に、丸川が「安倍が来る」という広告を掲載してしまったからだという。これには官邸が激怒したというが、それはそうだろう。

   週刊文春では、政治広報システム研究所の久保田正志代表が参院選を分析している。党派別に見ていくと、自民党は現有議席を大きく減らし、11議席減の55議席になるという。安倍が目指している60台には届かない。自公の合計でも69議席。非改選と合わせると139議席で過半数には達する。日本維新の会を8議席と読んでいるから、維新の非改選と合わせても改憲勢力は153議席どまり。

   久保田は自民の伸び悩みの背景をこう分析している。<「野党が低調なこともあり、選挙への関心は高まっておらず、投票率は50%に届くか届かないか、という程度でしょう。

   本来、低投票率のときは、自民党に追い風が吹く、後援会や地方組織がしっかりしているためです。新聞各社が選挙戦序盤の情勢分析では自民有利としているのも不思議ではありません。しかし、自民党は飽きられています。小池百合子東京都知事が希望の党で国政に挑んだ17年の衆議院選の結果を分析すると、希望と立憲民主党の獲得票数の合計が、自民党票を上回る選挙区が48ありました。そのため、自民党の足腰の弱い選挙区では、野党にひっくり返される可能性が大きいのです」>

   これで、枝野立憲民主党党首が、カラオケに注ぎ込んでいる情熱のいくばくかを選挙に向けてくれれば、終盤に盛り上がるのだろうが。今回の参議院選は、自民党に勝つ要素など何もないはずだ。

週刊新潮の突撃取材に菅官房長官シドロモドロ!「レイプ疑惑の元TBS山口に援助口利きしたのか?」

   ここへきて、かんぽ生命が詐欺といわれても仕方がない保険販売をしていたことが発覚し、社長がこれを認めて謝罪した。かんぽといえば、以前大きな問題になった「かんぽの宿」を思い出す。日本郵政が07年に旧郵政公社から引き継いだ770の宿は、土地の取得や建設などの費用が約2400億円もつぎ込まれていた。それを、評価額を126億円に圧縮し、一括入札であのオリックス・グループに109億円で売ってしまったことで大きな政治問題になった。日本郵政は未だに政府が大株主である。もやは、安倍政権が腐敗し、あちこちから腐臭が漂っているのは間違いない。

   腐臭といえば、安倍ベッタリだった元TBSワシントン支局長の山口敬之にレイプされたとして伊藤詩織が刑事告訴したが、菅官房長官の秘書官を務めていた中村格警視庁刑事部長(当時)がストップをかけたことはよく知られている。その後、警視庁からの書類送検を受けた東京地検が不起訴と判断。伊藤は検察審査会に審査申し立てを行ったが、不起訴相当という議決が出た。

   伊藤は山口に1100万円の損害賠償請求をしているが、山口のほうも名誉棄損とプライバシー侵害で、伊藤に対して1億3000万円の損害賠償を求めている。その山口の「反訴状」から、月額42万円もらっていた企業などの顧問先が浮かび上がってきたと週刊新潮が報じている。

   7月8日に東京地裁で開かれた法廷では、生々しいレイプの現場の状況が再現されたが、そこは割愛する。山口に資金提供していたのは有楽町にあるNKBという会社で、ここは交通広告の代理店で、オーナー兼会長の滝久雄は「ぐるなび」を1996年に開設したことで知られるそうだ。

   この滝会長と菅官房長官が仲良しで、山口がTBSを辞めた後、滝会長に「山口にカネを払ってやってくれないか」と依頼したそうである。それ以外にも、山口はあちこちから顧問料をもらっていたらしい。権力に近づくということは、おいしい生活ができるということを意味するのだ。

   週刊新潮がすごいのは、SPたちに囲まれてウオーキングをしている菅官房長官に直撃していることである。週刊新潮が「山口敬之さんからお願いされたんですか? 顧問料を支払えというのは? どういう経緯かだけでも」と声をかける。菅は「ちょっと、悪いけど、ちょつと。私、関与してないです」というが、SPが記者を近づけまいとしてもみ合う様子がリアルに伝わってくる。

   権力者と近づきになれば、自分も権力を持った気になる。そう勘違いする人間が多いが、とくに安倍政権になってから、そういう輩がやたら多くなってきた気がする。これも長期政権が生んだ腐敗の一つだろう。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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