2020年 7月 10日 (金)

<蜂蜜と遠雷>
音楽で気持ち語る作りの巧みさ!ピアノコンクール舞台にぶつかり合う天才たちの葛藤と成長

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   原作は2017年に直木賞と本屋大賞を受賞した小説で、著者の恩田陸は「映像化は不可能」と語っていたが、石川慶が脚本・監督を担当して映画化した。

   3年ごとに開催される「芳ヶ江国際ピアノコンクール」は若手ピアニストの登竜門とされ、天才少女といわれながら、母の死をきっかけに表舞台から姿を消していた栄伝亜夜(松岡茉優)、楽器店で働き、年齢制限ギリギリでの高島明石(松坂桃季)、亜夜の幼馴染みで優勝候補のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)、パリで開催されたオーディションで審査員に衝撃を与える演奏を披露した風間塵(鈴鹿央士)も挑戦する。

   コンクール会場だけで物語が展開するという作りが巧みで、コンクールの緊張感がひりひりと伝わってくる。テーマは「天才同士の共鳴」であるから、ダイアローグではなく、演奏者のイメージとイメージのぶつかり合いからテーマが表れていく構成に合点がいくし、小説と映画の違いをしっかりと捉えていることが分かる。

プロのピアニストたちのスタント演奏だけでも見る価値あり

   肝心の演奏シーンは、ただプロのスタントを入れるのではなく、登場人物たちの個性と音楽観に合わせたスタントダブル――亜夜は河村尚子。明石は福間洸太朗。マサルは金子三勇士。塵は藤田真央――の演出が、映像化は不可能といわれた本作にリアリティを与えている。音楽面で妥協しない制作サイドの気概は画面に生命を吹き込み、演奏シーンを観るだけでも価値がある。

   映像化が成功しているもうひとつは、原作とは違い、亜夜をはっきりと主人公に位置けていることにあるだろう。小説は「音」を読み手にイメージさせることが肝心だが、映画は「音」から心象風景を描くことが肝心となる。音楽によって、亜夜の変化していく心境をダイナミックに描いて見せている。傑作だ。

丸輪 太郎

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