2024年 4月 19日 (金)

裁判所をかたるニセ封書が急増 送り主を電話で直撃すると「お客様」と呼ばれたけれど!?

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   東京簡易裁判所の名をかたったニセ封書が各地に送られており、裁判所に寄せられた相談は2日(2019年12月)から6日までの5日間で372件に上っている。

   神奈川県の30代女性の元に送られてきた封筒には、赤字でものものしく「重要」「親展」と書かれた横に「東京簡易裁判所」と差出人の名が。中には「訴訟着手発付通知」と書かれた紙があり、「貴殿に対し契約会社から契約不履行による訴状が令和元年11月29日に発付されました」「貴殿を被告とした民事訴訟が開始されますことを通達いたします」などとある。

「貴殿を被告とした民事訴訟が開始されます」と脅す

   さらに、強調するように赤字で「異議申し立て、訴訟取り消し等に関する照会先は民事第9室までお問い合わせください」と、相談窓口の電話番号が記載されている。しかしこの番号に電話をかけると、詐欺被害にあう危険があるのでご注意を。特殊詐欺に詳しい専門家によると、電話先でニセの弁護士を紹介され、裁判の取り下げ費用や着手金を要求される可能性が高いというのだ。女性は、書類に記載された番号ではなく、ネットで調べた実際の東京簡易裁判所の電話番号にかけたので被害を免れた。

   書類にはご丁寧に「詐欺にご注意ください」という注意喚起までしてあり、すっかり信じてしまいそうなほど巧妙にできているが、専門家が見れば、おかしなことだらけだ。例えば、訴訟関係書類は「特別送達」で郵送され、普通郵便で送られてくることはない。書類の文字はすべて「黒色」で、何かを強調するために赤字にしたり赤線を引いたりすることはあり得ない。

「消印が霞が関じゃなく牛込だけど」と電話で食い下がると...

   実際に記載された番号に電話した男性から、電話に出た男との会話の音声を借りた。そこには、うっかり尻尾を出した詐欺グループのやり取りが録音されていた。

   男性が偽名を名乗った上、紙に書かれていた管理番号を伝えると、電話の応対をした男は「データが見つからないので、分かり次第折り返す」。男性が消印について「牛込になっとるけど。霞が関じゃなくて」と食い下がるが、男は「分かり次第ご連絡差し上げます」の一点張りだ。

   男性が強い口調で問い詰めると、うっかりしたのか電話口の男は男性を「お客様」と呼んだ。男性は「お客様?簡易裁判所が相手に対してお客様っていうとね。普通言わんよ!」と激怒。最初から信じていなかった男性は被害にあうことはなかった。

   菅野朋子(弁護士)「変なところだらけですが、一般の方が見たらニセだと分からないでしょうね。でも、弁護士を紹介するなんて親切な裁判所はありません」

   青木理(ジャーナリスト)「僕もこれ読みましたが、よくできている。なんらかの法律関係者が関わっているのではないかというほどです」

文   ピノコ| 似顔絵 池田マコト
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