きょう19日(2020年11月)はボージョレ・ヌーボーの解禁日ということで、博多大吉キャスターが「今年はコロナ禍だからこそ、お得に飲めるものがあるそうです」と切り出した。
例年と比べて1割ほど安く購入できるものがあるそうだが、その理由は「列車」。なんとユーラシア大陸を横断する列車で、産地のフランスから走行距離1万キロ以上、1か月近くかかる長い道のりを運ばれてきたボージョレ・ヌーボーがあるという。
この前代未聞のプロジェクトに挑戦したのが、大阪のワイン輸入・販売会社だ。航空機で運ぶより輸送費が3分の1に、CO2の排出量も90%以上削減できる試算に、「これは面白いと思いました。コストが安くなり、環境に優しいワインが飲める」(会長の徳岡豊裕さん)とチャレンジを決めたそうだ。
予想外のトラブルで遅延も...温度変化や衝撃に負けずおいしいワインが到着
例年ボージョレ・ヌーボーは10月中旬から下旬にかけて発送が始まり、飛行機で運ばれるが、今年はフランス側がコロナによる物流の混乱を懸念し、多くの輸送手段を確保できるようにするため、発送の開始が2週間ほど早まった。そのため、飛行機より時間がかかる船や列車での輸送が選択肢に入ったというわけだ。
この会社では全取扱量の3分の2にあたる30万本を列車で運ぶことに。フランスを出発し、ベラルーシやカザフスタンを経て、中国から船で日本へ...という算段だったが、いざやってみると予想外のことばかりだったとか。
徳岡さん「一番困ったのが(ベラルーシの)ブレストです。旧ソビエト型の台車なんです。その前まではヨーロッパの台車なんです」
線路の幅などの違いから、コンテナを全て載せ替えなければならず、10日間ほど足止めを食らった。
その他にも、混雑する通関手続きで時間を取られるなどし、「しんどいです。えらいモンに挑戦したなってのが正直なところでした」(徳岡さん)。
ようやく大阪港にボージョレがやって来たのが11月16日、予定より10日以上遅れての到着となった。北海道などにも配送することを考えると、ギリギリのタイミングだったという。
井田香奈子アナウンサー「ユーラシア大陸を列車に揺られて横断してきた今年のボージョレ・ヌーボー。天敵となったのが温度の変化でした。それに対応するため、断熱材をコンテナの内側に貼り付けました。移動というとさらに大敵となるのが揺れと衝撃です」
ワイン輸入・販売会社ソムリエの徳岡園子さん「私たちもとても心配していたんですが、先ほど試飲したところ問題ありませんでした。この後来日した生産者と試飲をして、今後のことを検証していきたいと思っております」
列車で運ばれたボージョレ・ヌーボーは全輸入量の5%ほどで、ラベルに列車のイラストが描かれている。全国のスーパーや酒店、インターネットでも購入できる。