宮藤官九郎×長瀬智也のドラマの中で「俺の家の話」が一番面白い

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   TBSで1月22日金曜日の午後10時から放送している連続ドラマ「俺の家の話」に注目しています。

   脚本が宮藤官九郎のオリジナルストーリーという点も魅力です。

   後に能楽の人間国宝となる西田敏行を父に持つ長瀬智也は、いくら能の稽古に励んでも、父から褒めてもらえない修業生活に嫌気がさし、17歳で家出、プロレス団体に入門しプロレスラーとして、一時代を築く成功を収める。ある日、父が危篤になったと聞き実家の家族の元へ帰還、重篤な父を目の当たりにしてレスラーを引退し、25年ぶりに実家に戻り、父の介護をしながら宗家を継ぐ決心をします。

   まず、この脚本は、人間がよく描かれています。結婚詐欺の介護ヘルパーの戸田恵梨香が登場し、周囲の心配をよそに西田敏行との"アツアツぶり"を披露します。戸田恵梨香は自分を快く思わない長女や次男と違って、長瀬智也とは"会話"ができ、自分の貧しい生い立ちを話し長瀬もそれを受け入れます。西田敏行も後に戸田恵梨香が結婚詐欺であることに気づくのですが、「皆の手前、恋人同士でいて欲しい」と戸田に頼みます。西田は自分がそれまで好き勝手をして来て、「自分の"死に方"がわからない」と戸田に言うと、「長兄(長瀬)に"たたんで"もらえばいい」と言われますが、やはり「自分で"たたむ"」と言います。

   長瀬も一度止めると言ったプロレスが好きで、能も継ぎながらプロレスをやろうとします。

   そこに、長州力や武藤啓司、蝶野正洋がからんで面白くなっていきます。

   長瀬も、別れた妻に未練があって、息子に能の修業をさせるのですが、元妻が別の男の子供を妊娠したことを知って、ショックを受けるのです。

  • 日テレ「俺の家の話」公式サイト
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シリアスとコミカルが同居する西田敏行の存在感が凄い

   登場人物それぞれの人生を描くこのドラマ、最終的には、西田が戸田と死ぬまでにやりたいことのリストを書いた「終活ノート」の最後に書いたものの消した「家族旅行」ができるのではないかと思います。

   長瀬君は、好青年で、一連の宮藤官九郎作品(2005年4月の「タイガー&ドラゴン」、2010年7月の「うぬぼれ刑事」等)で主演していて、宮藤作品に愛情を持っています。過去の宮藤作品もよかったですが、私は、今回の「俺の家の話」が一番面白いと思います。それと、今回のこのドラマでは、西田敏行さんの存在感が凄く、演技のシリアスな部分とコミカルな部分の、落差というか、幅が生きていると思います。

   このドラマは、「家族とは何か」ということを、ハッピーエンドで終わることで示すのではないでしょうか。今後の展開が、楽しみなドラマです。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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