南海トラフ地震への「階段を上がっている」 「モーニングショー」で専門家指摘
22日(2022年1月)未明に大分県や宮崎県を襲った「震度5強」の地震は、「23万人の死者・不明者が出る」と言われる南海トラフ地震への「階段を上がった」とも言われる。24日の「モーニングショー」が、近づく南海地震のリスクを伝えた。
22日午前1時8分。「震度5強」に大分市が揺れた。バーの店長は「普通のちょっとした地震かと思ったら、一気にドンと来た。味わったことのない揺れですね。こんなでかいのは初めてで、ビックリしました」。グラスが散乱した。
東海大海洋研究所の長尾年恭・客員教授は、「今日明日ということはないですが、着実に南海トラフ巨大地震への階段を上がっている」。
スロースリップを「注意深く観測する必要がある」
震源は日向灘。深さは45キロ。マグニチュードは6.6。大分市では、道路から水が噴き出した。大分県佐伯市では、数メートルの石像が倒れ、首が飛んだ。宮崎県延岡市では、2メートル程の岩が崩れ落ち、道路のガードレールを突き破った。大分市の水族館の駐車場では、大きな亀裂が走った。
気象庁は22日午前3時の記者会見で、「南海トラフ地震の想定震源域内で発生した地震ですが、南海トラフ地震との関係を調査するマグニチュードの基準(6.8)未満の地震です」「M6.8以上ですと評価検討会が開かれることになります」。地震はプレート内部で発生したとし、評価検討会の平田直会長は、「南海トラフ地震の直接のきっかけになるとは考えていない」。ただ、政府の地震調査委員会は13日、「南海トラフで今後40年以内に、M8~9クラスの地震が発生する確率」を「80~90%」から「90%程度」に引き上げていた。
長尾・東海大教授は、「日向灘で規模の大きい地震が起きると、将来の南海トラフの巨大地震を誘発することが、最近20年くらいの研究でわかってきた」「スロースリップが頻発し、大きくなると、巨大地震につながる可能性があるため、注意深く観測する必要がある」。「スロースリップ」とは、体で感じないようなゆっくりとした地震、のことで、1日から数か月でプレートがずれ、そのひずみを解消する一方で、周辺にひずみをためる可能性もある。東日本大震災でも発生していた現象だ。
南海トラフ地震はこれまで、1707年の宝永地震(M8.6~9.0)以来「100年から150年に一度」発生してきた。最近では、1944年の昭和東南海地震(M7.9)、1946年の昭和南海地震(M8.0)以降は75年以上起きていない。
玉川徹は、「東日本大震災とはケタ違いの被害になる。我々ができることは減災しかない。命だけはなんとか助かるようにしたい」
(栄)