2024年 4月 26日 (金)

「どうする家康」マメ知識  家康と対照的な秀吉 「まさに乱世」な二人の関係とは
<歴史好きYouTuberの視点>

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   NHK大河ドラマ「どうする家康」。次回2月5日(2023年)放送回は「第5回 瀬名奪還作戦」です。登録者数14万人を超える人気歴史解説動画「戦国BANASHI」を運営するミスター武士道が、今週原稿で最も熱く語りたい「マメ知識」は?(ネタバレあり)

  • 歴史解説YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」提供
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ドラマ登場場面でにじんだ「野心」

   いや~乱世乱世。どうも歴史好きYouTuberのミスター武士道です。

   こちらの連載では、大河ドラマ『どうする家康』が何倍も面白くなる歴史のマメ知識を解説していきますので、何卒よろしくお願い致します。

   さて、今回のテーマは木下藤吉郎の名前でドラマにも登場した『豊臣秀吉』(演:ムロツヨシさん)についてです。

   秀吉といえば、織田信長にその才能を見込まれ、低い身分から出世を果たし、最後には天下人にまで上り詰めた人物として有名です。

   同じ天下人である家康とは、出自に大きく差があります。

   家康の松平家も、三河の国衆(戦国大名に比べ小規模な土着の武士)にすぎず、決して大きな家ではありませんが、秀吉の父親は武士ですらなく、農民(兼足軽)だったと言われています。

   自身の出自にコンプレックスがあったのでしょう。秀吉は天下を取ったあとも生まれについて語ることはなく、詳しいことがわかっていません。

   人質時代があったとはいえ、松平家の殿様として厚遇されていた家康とは、やはり生まれに大きな差がありますね。

   「どうする家康」第4回では、まだ織田家に仕えて間もない木下藤吉郎が登場しましたが、せっせと下働きしながらも野心をもって目をギラつかせている様子は、育ちの良い元康(家康)とは対照的でした。

小牧長久手の戦いと「その後」

   そんな2人が対峙したのが、天正12年(1584)に起きた小牧長久手の戦いです。

   本能寺の変後、織田政権を乗っ取った秀吉に対し、信長の次男・信雄が家康に助けを求めて戦いに挑みました。

   秀吉軍は、池田恒興や森長可などの有力な武将を失いながらも物量で圧倒し、追い詰められた信雄が勝手に講和を結んだことでこの戦いは終わりました。

   この時、和睦の条件として家康は次男・おぎい(のちの結城秀康)を人質として差し出しますが、心まで秀吉に屈したわけではなかったようです。

   その後、家康は秀吉から臣従を要求されますが、これを断固拒否。石川数正が出奔する事態にまで発展します。

   息子を人質に取られ、駿河時代からの重臣を失うようなことになっても、家康は秀吉の臣下となることを拒んだのです。

   武田氏との激戦、天正壬午の乱などの多くの修羅場を潜り抜けたあとの家康ですから、秀吉に勝てる自信があったというのもあるでしょう。しかし、やはり低い身分の出である秀吉の臣下に降るというのは、家康のプライドが許さなかったのではないでしょうか。

   最終的には、秀吉が自身の妹・朝日姫を人質として差し出し、家康は朝日姫を正室に迎え入れ、家康は秀吉の義兄弟となったのち、臣従しました。

秀吉の妹との結婚

   朝日姫と家康の間には子がおらず、別居していた時期も長かったことから、二人は不仲だったのではないかという説もありますが、果たしてドラマではどう描かれるでしょうか?信長の妹、お市の方さえも惚れさせてしまう松潤・家康なら、朝日姫とも円満夫婦となりそうですが...笑

   朝日姫と結婚したことで、家康は羽柴一門となり、豊臣姓も与えられます。

   実は家康も豊臣ファミリーの一員だったのです。

   もし、秀吉がもっと長生きして、子の秀頼が豊臣政権を盤石にしていたら、家康は豊臣の家老として歴史に名を残していたかもしれません。

   生まれも身分もまったく違った二人が家族になる。まさに乱世です。

   個性的な俳優・ムロツヨシさんが演じる秀吉と、松本潤さんの演じる家康が、どのように関係を築いていくのか、ドラマの展開も要注目です。

    さて、今回の記事はここまで。ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非YouTubeチャンネル・戦国BANASHIをご覧ください。それではまた来週もお会いしましょう。さらばじゃ!

   (追記:参考文献など)今回の参考文献は、『図説 豊臣秀吉』(柴裕之編著、戎光祥出版)など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。

   <第4回解説動画は、(J-CAST)テレビウォッチのオリジナル記事下動画や、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」からお楽しみください>


++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2022年冬には登録者数が13万人を突破した。22年12月には『家康日記』(エクシア出版)を公刊。

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