若手官僚の退職増、東大生の官僚離れ 「ブラック霞が関」の実態とは(モーニングショー)

   東大生の「官僚志望」が激減している。「ブラック霞が関」とも言われる厳しい労働実態のなかで中途退職も増えている。東大生の意識や霞が関の労働実態に何が起きているのか。10日(2023年4月)の「羽鳥慎一モーニングショー」が現状を探った。

   商社に就職を希望している東大2年生は「民間企業で働いた方が、夢の幅が広がるのかな」。メディア・出版系を希望する同3年生は、「今の世代からすると、(官僚は)あまり魅力的な職場ではないかも」。弁護士希望の法学部3年生は「深夜の作業だとか、ブラックだと聞いたりしますし」。経済部3年生は、「官庁行く人はみな東大生というイメージあったと思いますが、そうではなくなってきているのかな」。

  • 学生の意識の変化とは(写真はイメージ)
    学生の意識の変化とは(写真はイメージ)
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国会対応との関係を指摘する声も

   国家公務員総合職(キャリア官僚)試験の申込者は、2012年度は2万3881人だったのが、23年度は1万4372人と過去2番目の少なさに落ち込んだ。キャリア官僚試験の合格者(22年度)の出身大学は、東大が320人で最多、次いで京都大165人、早稲田大118人、北海道大117人、慶応大89人などとなっている。ただし、合格者に占める東大生の割合は31.0%(12年度)が15.0%(22年度)と、10年で半減してしまった。

   さらに合格者10人以上の大学は、22校から39校へと増え、分散している。東大の法学部4年生は「法学部の中では、あこがれや両親の影響で、約2割は官僚を目指している。自分は人と直接かかわりたい。官僚は相手が見えない」。番組が東大生30人に「官僚が将来の候補になっているか」と聞くと、「なっている」は1人だけ、あとの29人は「なっていない」だった。

   官僚の「仕事の忙しさ」はどうか?霞が関のビル街が深夜まで明かりがつき、長いタクシーの列が深夜まで続く風景は有名だ。国家公務員の残業上限の原則は「月45時間以下、年360時間以下」だ。現役および退職した官僚1000人を対象にしたアンケート(2019年)によると、年間の残業時間が「721~999時間」が23.3%、「1000~1499時間」は27.5%、1500時間以上(~1999時間)も10.5%だった。ちなみに、各省庁のタクシー代は国交省が最も多く、約2億7865万円、厚労省は約2億7125万円、財務省が1億8699億円など、合計で18億6000万円に上っている。

   退職する官僚も増えている。在職10年未満の若手総合職の場合、76人(13年度)だったのが、109人(20年度)に増えた。文科省のキャリア官僚によると、「20代後半から30代中盤のどの期も、4分の1くらいが既に退職している」。その原因について「国会が非効率すぎる。何よりも国会が優先されるので、議員から何か言われたら対応せざるを得ない」(外務官僚)、「官僚組織で世の中を良くしようとするのは困難。コンサルや商社など、民間企業で変革の提言をしていった方が、現実的に社会問題を解決できる」(法務官僚)。

   政策決定に深く関与してきた官僚の「やりがい」が失われ、心が折れる場面も。コメンテーターの玉川徹(テレビ朝日社員)は、「集団的自衛権でもエネルギー問題でも、こうやった方が日本のためにいいと思っていることが、全然進まない」

(栄)

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