かまやつひろしの偉大さと音楽の素晴らしさが伝わった「7回忌コンサート」

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   私は、この5月5日午後9時からWOWOWオリジナル「ムッシュかまやつトリビュート for 七回忌」を見ました。2017年に亡くなった"ムッシュかまやつ"こと、かまやつひろしさんの7回忌にあたる2023年3月に行われたものが配信されたのです。

   作・編曲家の武部聡志プロデュース、松任谷正隆演出のコンサートイベントで、ムッシュと縁の深いアーティストで構成されたものです。

   最初に登場したのは、ムッシュの長男TAROかまやつ。ピアノの弾き語りで「ゆっくりとゆっくりと」を披露したのですが、ムッシュのライブ映像も映され、親子 "共演"が実演しました。

   次に登場したのは、今井美樹。ムッシュが在籍したザ・スパイダーズの「ノー・ノー・ボーイ」を歌い、ムッシュ本人のボーカル音源との共演に会場から、大きな拍手が送られました。

   続いて、アコースティックギターを持った森山直太朗が登場して、吉田拓郎&ムッシュがリリースした「シンシア」を披露。ムッシュの従妹にあたる母森山良子を紹介し、カントリーウエスタンの衣装を着た彼女と「どうにかなるさ」を熱唱して、ムッシュのルーツであるカントリーミュージックの良さを、アピールしました。

   そして、森山良子は「我が良き友よ」を一人で歌いました。

   ここで、武部がMCで、ムッシュの録音テープとの"対話"をして「こんなショーやってるんですけど、聴こえてますか?」(武部)、「すごいね、ポジティブだね」(ムッシュ)といった会話が繰り広げられました。

  • WOWOWサイトの「SONGS & FRIENDS ムッシュかまやつトリビュート for 七回忌」ページより
    WOWOWサイトの「SONGS & FRIENDS ムッシュかまやつトリビュート for 七回忌」ページより
  • WOWOWサイトの「SONGS & FRIENDS ムッシュかまやつトリビュート for 七回忌」ページより

松任谷由実、堺正章、井上順も登場

   その後に登場したのは、松任谷由実で彼女はTBSの番組でムッシュと共演した時に歌った「楽しいバス旅行」(かまやつひろし)と、「中央フリーウェイ」(荒井由実)を歌いました。

   最後に登場したのは、60年代グループサウンズの中心的存在ザ・スパイダーズのメンバーだった堺正章・井上順の2人です。

   「夕陽が泣いている」(作詞・作曲浜口庫之助)のイントロが流れ、堺が歌い出そうとした瞬間に、堺が「言うのわすれてたんだけど」と、"お約束"のセリフを切り出し、井上が舞台の上に倒れ込んで頭を打つと、バックのバンドのメンバーも会場も爆笑の渦に包まれました。

   次いで「ヘイ・ボーイ」からはムッシュが手掛けた曲が次々と歌われます。「フリフリ」が歌われた頃からは、会場は総立ち。出演者が全員登場して「あの時君は若かった」「バン・バン・バン」と歌いあげました。最後のバンドの盛り上げも、井上順が前振りをして、堺正章に渡すと、堺が、バンドの最後の盛り上げを何回も繰り返す名人芸を披露して、最後は松任谷由実に渡し、ようやくエンドになりました。

   会場全体が、興奮の渦中にありました。武部が演奏する「あの時君は若かった」にのせて、出演者一人ひとりがムッシュへのメッセージを言った後、武部が「今まで、音楽を続けてこられたのは、ムッシュのおかげです」と涙ながらに語って、コンサートは幕となりました。

   「音楽っていいなぁ」と、心から思いました。「本当に、いいものを見せて・聴かせてもらった」というのが偽らざる気持ちです。かまやつひろしさんの偉大さが、よくわかりました。

音楽の持つ力と、テレビの持つ力を改めて感じました。

   このコラムで、何回か述べさせてもらいましたが、「テレビが生き残る道は、生であることと、他人がやらないことをやるということです」。「ムッシュかまやつの七周忌コンサート」は生放送ではありませんが、"生風ライブ"という点では、その範疇に入ると思います。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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