2024年 4月 29日 (月)

「ウルトラマン」は消えず 円谷プロ、倒産寸前で救済

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   国民的キャラクター「ウルトラマン」をもってしても、産みの親である円谷プロの業績悪化と、多額の有利子負債は消えなかった。複数の映像コンテンツ制作会社をグループの傘下に置く、事業持ち株会社のティー・ワイ・オー(TYO)は2007年9月12日、「ウルトラマン」シリーズの制作でおなじみの円谷エンタープライズの第三者割当増資を引き受けることで同社を子会社化すると、発表した。あわせて、円谷エンタープライズの子会社・円谷プロダクションを孫会社化する。10月16日開催予定の円谷エンタープライズの臨時株主総会の承認を得て正式決定する。

「同族経営によるコスト意識の甘さ」

   TYOによると、同社が円谷エンタープライズの筆頭株主(80%)となり、円谷プロの円谷一夫会長兼社長が保有する株式の大半(22.5%)を円谷エンタープライズに譲渡することで、円谷エンタープライズの円谷プロ株の保有比率を45.5%から68.0%に引き上げる。これにより、TYOが円谷プロの株式の54.4%を間接保有。円谷グループの経営再建をめざす。

   知らない人がいないほどの人気キャラクター「ウルトラマン」がいながら、円谷プロはなぜ倒産寸前まで追い込まれたのか。

   TYOはその原因を「同族経営によるコストの意識甘さにある」と言い切った。ウルトラマン・シリーズは最近でも「ウルトラマンコスモス」「ウルトラマンティガ」などが人気を呼んだ。しかし、映画製作等の失敗、経営管理の弱体化によって追い詰められていた。

   TYOの子会社化によって、円谷エンタープライズの代表取締役である円谷一夫会長兼社長らは監査役も含め「総退陣」する。

ウルトラマンの番組にCG技術を使う?

   円谷プロダクションの前身は戦時中、円谷英二氏が立ち上げた特殊映画技術研究所、通称・円谷研究所。ウルトラマンは1960年代にシリーズ化され、最強のヒーロー・キャラクターに育った。英二氏を祖父にもつ、現会長兼社長の一夫氏はTYOいわく、「ウルトラマンのDNA」をもつ人物で、「敬意を表しています」という。TYOでは、「会長にはいったん辞任していただき、そのうえで代表権のない会長に就いていただきます」と話している。

   TYOはCM制作会社としてスタートし、いまではホームページやエンターテイメント、アニメーションなどのコンテンツを制作。ジャスダックに上場する会社に成長した。常に株主利益を第一に考える「いまどきの企業」で、円谷プロとは「水と油」のようでもある。

   ウルトラマンはどうなるのか、J-CASTニュースはTYOに今後の方向性を聞いた。すると、「ウルトラマンの番組にCG技術を使ってみたり、アニメ化してみたり、テレビCMやゲームに登場させてみたりと、いろいろと考えられます。コンテンツで収益を上げていく仕組みを提案し管理、実行する。つまり、質を高める経営です。だから、円谷プロのブランドも、ウルトラマンのキャラクターも、大事にします」と。

   そして、「再建に自信がなければ、お引き受けしません」と、胸を張った。

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