【被災地はいま】4月9日 「とっさの判断」で救われた命

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   宮城県気仙沼市仲町で時計店を営む川口憲一さんは2011年1月、アキレス腱を断裂した。これが後の運命を左右することとなった。川口さんは震災当日、午後2時から病院で診察を受け、帰宅中。目の前の交差点を左に曲がれば、自宅だった。

「車のタイヤが浮き上がってバウンドするほどの揺れだった」。

   一瞬、左折して貴重品を取りに帰ろうかと考えたが、とっさにハンドルを右に切り、高台にある市立気仙沼中に避難した。2日後、水産加工会社で働いていた妻・美栄子さんとも合流し、同中学で避難生活を続けている。

   約500人が避難生活をおくる市立気仙沼中で、ひときわオシャレな紳士に出会った。同市幸町で会社を経営する吉田喜市さんだ。淡い紫のスカーフを首に巻き、赤いジャケットを粋に着こなす。

   吉田さんは本震直後、妻・実千代さんの「走るよ、逃げるよ」の言葉で、車ではなく走って逃げた。路上はすでに乗用車で大渋滞だった。動かない車の脇をすり抜け、坂道を駆け上がっているとき、津波は既に背後まで迫っていた。

   「とっさの判断力だったねえ」とふり返る実千代さん。

   川口さんも、吉田さんも、「とっさの判断」と言うが、過去のどんな地震や津波警報でも必ず避難をし続けてきた結果でもあるのだという。(カメラマン・会田法行)

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