編集長からの手紙
J-CASTニュース5周年 大震災、フェイスブック、ツイッター、そしてウィキリークスの1年

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   J-CASTニュースは2011年7月26日で5周年を迎えた。この5年間、インターネットの革新と伸張は目を見張るものがあったが、とりわけこの1年、ネットコミュニケーションが社会に与えた影響力は強大だった。マスメディアの「歴史に残る変革期」として記録されると思う。

   J-CASTニュースは現在、月間のページビューは6000万PV、月間UU(ユニークユーザー)は700万人を超えている。多数のポータルサイトにニュース配信をしているが、最大の配信先ヤフーニュースでは月間1500万~3000万PVのアクセスを記録する。読者に支えられ、知名度の高いメディアに育った。

   大きな事件、興味のある話題のたびに階段を上るようにして読者を増やしてきた。ヤフーから関連記事を辿ってくる読者が最も多いが、最近の傾向は、キーワード検索によって記事を見つけて来る読者が増えていることだ。検索経由ではグーグルの読者が圧倒的に多い。

   J-CASTニュースへのアクセス数は、3.11震災直後に3~4割も急増した。全国紙のニュースサイトでは2~3倍の激増である。1、2ヶ月後には震災前のアクセス数に戻ったが、日本のネットメディアにとって経験したことのない「大事件」だった。

   これまで新聞やテレビを情報源として来た市民にとって、ネットも利用価値の高いメディアとなっている。注目すべきは、このとき市民が殺到したネット情報の発信源は新聞社だということである。J-CASTニュース成長の5年間は新聞衰退の時期と重なるが、情報源としての新聞社への信頼はまだまだ厚いというのが現実だ。

   震災でツイッターや、フェイスブックに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)もブレイクした。

   ツイッターはマスメディアや身のまわりの情報を伝送する個人メディアの役割を果たしている。市民リポーターであり、市民キャスターでもある。電話網が打撃を受けた震災で、「つながるメディア」として大活躍だった。J-CASTニュース画面にツイッターを利用しやすい機能を付加し、ツイート数を表示、ランキングを作った。平均して20~50、100を越えるものが多い。読者の発信力の広がりは私の予測を遥かに超えていた。

   SNSも個人の情報メディアとして急速に拡大、チュニジア、エジプトなどの中東の反政府運動に決定的な力を発揮した。ちょうど、フェイスブックをモデルとした映画「ソーシャル・ネットワーク」が日本でも公開され、「フェイスブック 若き天才の野望」(日経BP社刊)が出版された。映画では米国の若者がネットメディアを牽引する様子、書籍は米国のネット企業が、日本がまったく及ばぬ見事なダイナミズムで動いている様子を描いていた。

   この1年のネットのもう一つの注目は、「暴露メディア」ウィキリークスである。設立自体は2006年まで遡るが、大衆の注目を集めたのが、2010年11月に公開を始めた米国の外交文書暴露である。首脳の個人スキャンダルが、面白おかしく各国の新聞、テレビで報じられた。国益に反するとして米国政府は、漏洩者と見られる人物を拘留しているが、次第に「情報公開の正義」と見る向きが広がっている。朝日新聞社は2011年になってウィキリークスから日本関連の文書を手に入れ、新聞紙上で報じた。これを見ると、日本の外務省はまるで在日米国大使館のスパイのような情けないことをやっている。

   国際政治学者の坂本義和氏が、現在の「知識人」像を次のように語っている。 「国家を超えて、世界中の人たちとインターネットを通じて直接意思を通じ合い、同じ人間として、どういう社会を作るか議論している。新しいタイプの市民的な知識人が生まれている」(朝日新聞2011年7月20日)

   かつて、知識人といえば「上のほうにいる人たち」だった。その時代は去った。

   J-CASTニュースに被災地情報を掲載するコーナーを作った。地域のボランティア、役所、団体などからの寄稿などで構成されている。地域の「小さなニュース」だが、この記事から多くのツイッターが発信されている。全国ニュースに劣らない数である。

   J-CASTニュースは5年前、「ネット情報の海に釣り糸を投げる」(キャスティング)ところからスタートした。これから、「歴史に残る変革期」の荒波を乗り越えなければならない。

J-CASTニュース発行人 蜷川真夫

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