2024年 4月 30日 (火)

高齢者用に「超小型車」 日本でも普及するか

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   高齢者の移動手段などに期待される、軽自動車と原付きバイクの中間に位置する「超小型車」。すでにフランスでは導入済みで、日本でも国土交通省が普及に向けて旗振り役となっている。しかし、安全性などに問題を抱えているほか、需要が読めないこともあってメーカー各社の対応に濃淡があり、一気に普及する状況にはないようだ。

公道を走るガイドラインも策定

   国交省が2012年6月に公表したガイドラインによると超小型車は、軽自動車(排気量660cc以下、全長3.4メートル以下)よりも小さく、燃費などの環境性能が高い1~2人乗りの車両、ということになる。国交省は「低炭素」「環境性能」にこだわりを見せており、駆動源としてはガソリン車よりは電気自動車(EV)を想定しているようだ。

   半面、原付き(第1種原動機付き自転車、排気量50cc以下)よりは大きい。原付きは全長2.5メートル以下、全幅1.3メートル以下だが、超小型車はいずれも一回り大きくなる見通しだ。また、原付きが1人乗り限定なのに対し、2人乗りも可能とする点も違う。超 小型車の排気量は125cc程度が検討されている。

   国交省は今年春までに、横浜市や愛知県豊田市など大手自動車メーカーのお膝元を中心に、全国で超小型車の導入に向けた実証実験を行った。「高齢者の外出頻度が高まった」などの結果を受けて「来たるべき超高齢社会に対応できるのではないか」(国交省)として、6月に公道を走るためのガイドラインを策定した。

   国交省は、申請のあった自治体での公道走行を暫定的に認める認定制度を近く作り、今年度中には特定地域で実現させたい考えだ。

ルノーが先行、日産は歓迎

   メーカーの動きはある。日産自動車は資本提携先の仏ルノーが「街乗り」と称するEV「ニューモビリティコンセプト」を開発済みだが、これがちょうど日本の超小型車の規格にあてはまる見込みだ。このため日産は日本の制度改正に合わせて国内への導入を検討中だ。EVは日産にとって世界をリードできる分野だけに新規格誕生は歓迎、というわけだ。

   トヨタ自動車もグループのトヨタ車体が昨年販売終了したEV「コムス」を今年7月に全面改良し、販売を再開した。コムスは1人乗りで原付きに区分されるが、業務用を含めた超小型EVに一定の需要が見込めると判断した。実際、セブン-イレブン・ジャパンは7月末から宅配事業にコムスを使い始めた。

   ただ、普及に向けた課題は多い。一つは安全性。高速道路は不可の方向だが、一般の公道でも高齢者が超小型車でノロノロと走ることになれば、渋滞の原因になるだけでなく、事故の発生増は容易に予想できる。実際、超小型車先進国フランスのパリ市内では交通事故が問題になっているという。また、普及には軽自動車より相当に価格を抑える必要があるが、「需要が読めないなかで低価格を実現するための量産には踏み込めない」(あるメーカー)との声も。このため国交省の思惑通りには進みそうにないと見る関係者は少なくない。

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