2024年 4月 26日 (金)

自民「世襲禁止」骨抜き 公募で続々「地盤引き継ぎ」

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   2009年の衆院選で野党に転落するのを前に、大幅に国会議員の世襲を制限する方針を打ち出していた自民党が、その「骨抜き」を加速させている。県連で候補者を公募するという手続きを取ってはいるものの、引退を決めた現職の子どもを同じ選挙区から擁立するケースが続出しているのだ。自民党の中ですら、「(党の)外から見れば『なんでこんなに同じ名前が続くんだろう』というのは否めない」と、疑問の声を口にする非・世襲の議員もいる。

衆院選惨敗でマニフェスト形骸化

総裁選でも全候補が「世襲議員」だった
総裁選でも全候補が「世襲議員」だった

   自民党は09年の衆院選マニフェストで、「『世襲候補』の制限等」という項目を盛り込み、3親等以内の親族を同一選挙で公認・推薦しないことを明記した。だが、総選挙で惨敗した直後の09年10月には、「都道府県連の公募や予備選で党員の支持が得られる」ことを条件に、世襲候補の公認も容認する方針に転じ、世襲制限は形骸化していた。

   「年内解散」が取りざたされるなか、地盤を子どもに引き継ぐ動きが着々と進んでいる。例えば次期衆院選では、北海道12区の支部長は武部新(あらた)氏、香川3区の支部長は大野敬太郎氏が務めることが決まっている。2人とも公募で選ばれたという体裁だが、父親は、武部勤元幹事長と大野功統元防衛庁長官で、2人とも今期限りでの政界引退を表明している。

   それ以外にも、引退を表明している福田康夫元首相、中川秀直元幹事長の地盤にあたる群馬4区と広島4区も公募実施中だ。だが、それぞれ長男の達夫氏と次男の俊直氏が立候補の方針で、世襲候補が「勝てる候補」として選考には有利だとみられている。

石破幹事長「『二世であるから有利』という認識は減らしていかなければ」

   10月13日のTBS「みのもんたのサタデーズバッと」でも、この様な状況を紹介。ゲストとして出演していた自民党の小野寺五典衆院議員(宮城6区)は、

「選挙区の方は、自分のところの『先生』には、早く偉くなってほしい。そう思う場合、私のような、どこの馬の骨か分からないような者を応援するよりは、世襲で応援して当選して、中の力学からして偉くなるので、選挙区の皆さんにとっては一定の合理性がある話」

と、世襲議員が当選しやすく、出世が早い仕組みを解説。その上で、

「中から見れば、そう見えるが、外から見れば『なんでこんなに同じ名前が続くんだろう』というのは否めないと思う」

と、現状に対する違和感があることを認めた。なお、小野寺議員は松下政経塾の出身で、同期には福山哲郎元官房副長官がいる。

   石破茂幹事長は、翌10月14日のNHK「日曜討論」の中で、批判に対して

「それは、(現職議員の)息子さん、娘さんであっても、本当にすばらしい方はおられる。それは間違いなくおられる。では、その人を選ぶにあたって、自民党の支部に所属している党員の皆様の声を聞きましたか、という点が大事」

と従来の立場を繰り返しながら、

「『二世であるから有利』という認識は減らしていかなければならないという認識は強く持っている」

と、公募の運用の公正性や透明性を高めたい考えを強調した。

   なお、世襲問題は自民党に特有だという訳ではない。例えば、民主党では今期限りでの引退を表明している羽田孜元首相(衆院長野3区)の長男、羽田雄一郎国交相(参院長野選挙区)を長野3区で擁立する可能性が浮上しており、やはり「マニフェスト骨抜き」だとの批判がある。

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