2024年 4月 19日 (金)

「シャラップ!」国連委で日本代表大暴言 人権問題追及にブチギレた「お粗末やりとり」

   英語で「シャラップ(Shut up)!」といえば、日本語の「黙れ!」に相当する。米国留学の経験がある人いわく、「かなりキツい言い方。公の場で使う表現ではない」。

   そんな暴言を、国連拷問禁止委員会という国際的な席で、日本を代表して参加した「人権人道担当大使」が連発して物議をかもしている。しかも日本の人権意識を追及されての「逆ギレ」発言だ。

「自白に頼る日本は『中世』」指摘され…

   問題の発言があったのは、2013年5月21~22日にかけて開かれた国連拷問禁止委員会だ。同委員会では国連加盟国を対象に、警察など国家権力による拷問などの非人道的な扱いがないかを調べており、今回は日本が2007年以来2度目の審査対象として選ばれた。

   公開されている中継動画や会議要旨、また日本弁護士連合会代表団として傍聴していた小池振一郎弁護士がブログで記したところによると、事の次第は以下のようなものだ。

   発端となったのは、22日の審査終盤にモーリシャスの委員から出た「日本は自白に頼りすぎではないか。これは『中世』の名残である」という日本の刑事司法制度への批判だ。

   これに、日本側の代表として派遣されていた外務省の人権人道担当大使・上田秀明氏が色をなした。動画では生々しいその模様がしっかり記録されている。

   上田氏はややギクシャクした英語で、日本代表としての最後のあいさつを行った。その中で、「日本は『中世』ではない」と上記の発言を打ち消すとともに、

「我々は、この分野(人権問題)において最も進んだ国家である」

と高らかに宣言した。

   しかしこれに、会場の一部からは笑いが起きた。あるいはジョークと思われたのかもしれない。ところがその瞬間、

「ドントラフ(笑うな)!」

   上田氏の叫び声に、出席者たちは驚いた様子で、一斉に視線を集中させた。空気が完全に凍りつく中、さらに上田氏は、

「なぜ笑うのか! シャラップ! シャラップ!」

と、「シャラップ」を連呼、満足げにしんとした会場を見渡しながら「我々は、この分野において最も進んだ国家である」と繰り返し、得意げに「それが我々の誇りだ」と付け足した。

取り調べ問題など多数指摘されていた

   日本政府は、国際的な人権問題に積極的に取り組む「人権外交」を標榜している。人権人道担当大使はその「顔」として2005年に新設された。また上田氏は駐オーストラリア全権大使などを歴任したベテランだが、その振る舞いはあまりにも大人気なく、公開された動画には「国の恥だ」などという声も寄せられている。

   そもそも笑われても文句を言えないほど、同委員会では日本への厳しい追及が相次いでいた。国内報道では慰安婦問題ばかりがクローズアップされたものの、むしろ厳しい批判が多く寄せられたのは、日本の警察制度の問題点についてだ。特に他の先進国に例を見ない長期の拘束と、連日の取り調べを伴う留置場制度に対しては、廃止も含め検討するよう求められるなど、日本側は多数の改善要求を突きつけられている。そこに来ての「シャラップ!」は問題だ。なおこの件につき外務省に取材を申し込んだが、担当者が不在のため回答は得られなかった。

   ちなみに「シャラップ!」には、米国の若者言葉で「マジで?」という比較的軽い意味もあるという。上田氏の発言には、それこそ「マジで?」の声が多く上がりそうだ。

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