2024年 4月 25日 (木)

日経ビジネスに「破たんシナリオ」まで書かれた スカイマークの「剣が峰」

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   超大型旅客機のエアバスA380型機の購入をめぐり、仏エアバス社から最大700億円という巨額な違約金を請求される可能性が明らかになったばかりのスカイマークの経営に、改めて黄信号が灯った。

   2014年7月31日に発表された14年4~6月期単独決算で、事業継続に「重要な疑義」があることを注記したからだ。注記は経営に重大なリスクがあるときにつけられるため、一部メディアからは破たんを含めて今後起こりうるシナリオに触れるところも出始めた。

LCCで客単価下がり、A330やA380導入でコストかさむ

スカイマークはA380をめぐり、最大700億円の違約金を求められる可能性がある(エアバス社提供)
スカイマークはA380をめぐり、最大700億円の違約金を求められる可能性がある(エアバス社提供)

   4~6月期では、前年同期では12億4100万円だった最終赤字が57億9500万円に大幅に拡大した。

   提供座席数を増やしたのにともなって乗客の数は増えたものの、格安航空会社(LCC)との競争が激化して客単価が下落した結果、売上高は同1.5%減の181億9400万円だった。

   スカイマークは、従来は小型の737-800型機のみで運航してきたが、東京-福岡線に大型のA330-300型機を就航させた。この機材費や訓練費がかさみ、利益を圧迫することになった。このA330型機に加えて、A380型機を6機注文し約260億円を前払いしている。これらの多額の支出が原因で、

「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております」

という記述が登場した。

   なお、この260億円については「現時点で業績への影響額を合理的に見積もることが困難」だとして今回発表された財務諸表には反映されていない。

   上場企業は事業継続を前提としているが、この前提が崩れかねないと経営者が判断した場合は、その旨の注記を決算短信や有価証券報告書に載せて投資家に注意喚起することが義務付けられている。倒産のリスクが上がったことを投資家に警告しているわけだ。東京商工リサーチの調べによると、14年3月期の決算を発表した上場企業2467社のうち、監査法人から継続企業の前提に関する注記がついたのは27社。上場企業のうちわずか1.1%だ。注記がつく企業の数は、08年~09年のリーマンショックをピークに減少を続けている。

違約金最大700億円は「金額に合理性がないと考えており、法的手段も視野」

   スカイマークの決算書類では対応策も挙げている。前出のA330は全席に座席間隔が18センチ、幅が5センチ広い「グリーンシート」を搭載しており、日本航空(JAL)のファーストクラスに次ぐ「クラスJ」から顧客を奪う可能性も指摘されている。大型機のA330で輸送力を強化した上でグリーンシートで「顧客の囲い込み及び新規顧客の獲得」を図りたい考えだ。これに加えて不採算路線を廃止してコストを削減。現時点でスカイマークは無借金だが、金融機関からの借り入れで運転資金の調達を目指す。

   最大700億円にのぼるとみられるA380キャンセルをめぐる違約金に関する記述もあり、ここでもう一度、

「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況」

という文言が登場する。ただ、この違約金については、スカイマークは、

「その金額に合理性がないと考えており、法的手段も視野に入れながら対応策の検討を行っております」

と争う構えだ。

リース会社に飛行機を差し押さえられる?

   西久保慎一社長は7月29日の会見で、

「どんなに会社を縮小しようが、そういう(違約金という)負債を背負うことになっても、我々は独立した形で、今後も『第3の航空会社』として営んでいきたいと思っている」
「(違約金を支払うことになった場合は)かなり長期にわたっての弁済ということになるので、経営的にはさほど圧迫するものにはならないと考えている」

と事業継続への意欲を示したが、その見方が正しいかどうかは不透明だ。例えば日経ビジネスは、ウェブサイトに、

「スカイマークを破綻にさらす3つの危険要因 リース機の引き揚げで運航が止まる?」

と題した記事を掲載し、リース会社から飛行機を差し押さえられて運航ができなくなったり、販売済みの航空券の払い戻しを求める人が一定数出る「取り付け騒ぎ」が起こったりするリスクについて詳細に指摘している。

   仮にスカイマークの事業が継続したとしても、不採算路線からは撤退する方針は明確に打ち出されている。撤退によって競合が減る分、地方路線を中心にJALや全日空(ANA)が値上げに踏み切ることを懸念する声が早くも出ている。

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