2024年 4月 25日 (木)

福島県に日本最大級のメガソーラー 中国「上海電力」が発電に向け本格始動

   中国の上海電力が、日本での太陽光発電事業に向けて着々と準備を進めている。

   なかでも、福島県西郷村に建設されるメガソーラーは59ヘクタール、東京ドーム12個分の広さで7万6500キロワット(kW)の発電量を有する、国内最大級とされる。

大阪市や栃木県那須など、すでに国内数か所で計画

中国の「上海電力」が日本で、本格的に太陽光発電事業に乗り出している(写真はイメージ)
中国の「上海電力」が日本で、本格的に太陽光発電事業に乗り出している(写真はイメージ)

   中国の上海電力は1882年の創立。上海証券取引所に上場していて、株主は中国電力投資集団などの政府系資本がほとんど。上海を基盤に事業を展開し、発電施設800万キロワット(kW)の容量は、日本の北陸電力と同じ規模をもつ。

   海外進出も果たしており、トルコやイラク、タンザニア、インドネシア、オーストラリアの5か国に進出してきた。日本への進出は2014年1月。東京・丸の内にオフィスをかまえ、100%出資の現地法人として「上海電力日本」を設立した。

   太陽光発電などの再生可能エネルギーによる発電事業への投資、発電所の建設、電気の供給・販売を手がけ、さらには2016年の電力事業の完全自由化への対応をにらんでの設立。また、中国政府の「走出去」(対外進出)と「新エネルギーの大いなる発展」のスローガンに呼応した動きでもある。

   日本での狙いは、2012年にはじまった再生可能エネルギーの全量買取制度にあるとみられる。海外からみても「高い」といわれる電力の買い取り価格(1kW時あたり32円+税、期間20年。2014年)を背景に、安定してもうけられる投資事業とみなされているからだ。

   そんな上海電力が、福島県西郷村のほか、大阪市住之江区南港(コスモスクエア地区)や栃木県那須烏山市、静岡県富士宮市、大分県宇佐市などの国内数か所でメガソーラーを建設する計画を進めている。

   大阪市ではユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に隣接する市有地を借り、2014年5月18日には上海電力日本と伸和工業が共同で投資した「大阪南港太陽エネルギー発電所1号」プロジェクト(発電量1.5万kW)の竣工式が行われた。

   6月には、12年8月に閉鎖された栃木県の「星の郷ゴルフ&ホテル烏山」の跡地に、5万kWもの発電量のメガソーラーを建設することがわかった。すでに地元関係者などへの説明会が開かれたとの情報もある。

日本企業が「助っ人」、土地確保に協力

   東北新幹線新白河駅に近い福島県西郷村のメガソーラーも、ゴルフ場開発が頓挫した跡地を活用するらしい。というのも、当の西郷村は「事業をするという話は聞いているが、進捗状況はわかりませんし、詳細は把握できていません」というのだ。

   太陽光発電事業は、電力会社への売電となるため、電気事業者としての許認可は必要ない。必要なのは発電所の設置申請だが、それも設置場所(地元自治体)に届け出るような書類などはないので、手続きが地元自治体の知らないところで進められているケースが、少なからずあるようだ。

   資源エネルギー庁は、「太陽光発電などは個人を含め、誰でも参入できるようになっており、それにより普及、拡大していくようにしています」と説明する。

   設置申請だけして、なかなか稼働しないケースがあることや売電権を目的とするブローカーの暗躍が問題となり、一部の事業者は設置認可が取り消されたが、広いスペースを必要とするメガソーラーともなると、土地に確保が容易ではないのも現実にはあるようだ。

   上海電力の場合は、大阪市コスモスクエア地区の事業のように日本企業との協力関係を結びながら進めているようだ。

   土地の確保にも「助っ人」がいる。ミサワホームの創業者の三澤千代治氏が社長を務めるMISAWA internationalがそれ。三澤社長の2014年5月24日付のブログは、上海電力の刀旭社長を訪問したことが記されており、「上海電力に依頼されてメガソーラーの土地の取りまとめを行っておりますが、地主の意向もありなかなかまとまっていない」と、こぼしている。

   むずかしさもあるが、「案件を何件かまとめたいと思っている」と、意欲をみせている。

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