2024年 4月 18日 (木)

罵声を浴びせたリンゴが腐った? トマトが「クラシック音楽」でおいしく! 本当なのか

   1か月きれいな言葉と、1か月罵声を浴びせていたリンゴを比べたら、罵声を浴びせていたリンゴが腐っていた。いまインターネットで、こんなカキコミが話題になっている。

   「そんなバカな...」と思う人は少なくないが、この手の話は少なくない。果物や野菜を育てるのに、「話しかけるとおいしくなる」とか、「鶏にクラシック音楽を聴かせるとタマゴを多く産む」などの話がそれだ。

「非科学的だけど、言葉の力ってすげえなぁ...と感じた日でした」

1か月間罵声を浴びせるとリンゴは腐る?
1か月間罵声を浴びせるとリンゴは腐る?

   2014年11月08日のこと。ある男性教師がツイッターで、

「教室で1か月間行った実験。右が罵声を浴びせ続けたリンゴ、左はきれいな言葉をかけ続けたリンゴ。どちらももともと一つのリンゴでした。非科学的だけど、言葉の力ってすげえなぁ...と感じた日でした」

と、つぶやいた。

   公開された画像からは、右側のリンゴがこげ茶色に変色して腐っているようすがわかる。その教師は1個のリンゴを分けて比較。「ちなみに複数クラスでやりましたが、同じ結果でした」とも書いている。

   理科の実験とばかり思ったが、「ちなみに道徳です」といい、「言葉について考えるきっかけになればと思い、(実験を)行いました」。風変わりだが、なんとも至ってマジメな実験のようでもある。

   インターネットでは、

「言葉の力かなにかわからないが、あり得ないとは言い切れない」
「最近は『音響栽培』も流行っているからなぁ...」

など、どちらかといえば肯定的に受けとめている声がないわけではないが、

「教師のくせにあり得ない... 気持ち悪い」
「罵声をとばしたとき、唾液がいっぱいかかったんだろ」
「逆の結果もあるんだろう。都合の良い結果だけ報告するという詐欺的手法。結果じゃなくて過程を証明しろ」
「優しくアホ、ボケ言ったら、同じになるんか?」
「せめてりんご100個くらい用意してやれよ。あと生の声と録音した声、音の高低、周波数によってどれだけ差異はでるのかは確認しろ」

と、「オカルト的」「あり得ない」といった声が多く寄せられている。

   実験環境や方法が正しいかどうかは別にして、実際に「言葉」で農作物などの風味や賞味期限が変わるのだろうか――。

   農作物や果樹、畜産草地の育種改良から生産物の流通・高度利用の研究を行っている、農業・食品産業技術研究機構・果樹研究所によると、「(話しかけたり、音楽を聴かせたりする栽培方法の)話は聞いたことがありますが、その効果を科学的に証明しようとするとなかなかむずかしく、研究はしていません」と話している。

「音響栽培」「音響熟成」取り入れている生産者はいる

   とはいえ、たしかに非科学的とも思えるが、たとえば「トマトにクラシック音楽を聴かせると甘くなる」「和牛に演歌を聴かせて育てると肉がおいしくなる」などといった話を、聞いたことがある人は少なからずいるはず。

   前出の農業・食品産業技術研究機構も、「研究していないのであって、その(おいしくなる)効果を否定するものでは、まったくありません」という。

   寄せられたコメントにもあったが、最近は野菜や果物、牛を育てたり、日本酒や焼酎をつくったりするのに、「音響栽培」「音響熟成」なる製法があって、導入する生産者もいる。しかも、その製法を取り入れる生産者は増えているようだから、そう簡単には「あり得ない」とはいえないかもしれない。

   たとえば、富山県高岡市の森田農園では、モーツァルトのトルコ行進曲を流してトマトを栽培。「モーツァルトトマト」として売り出している。

   「音響栽培」は、音による「振動」が農作物を刺激して気孔の開閉を促し、光合成の活動を活発にすることで果実の風味や甘みが増すとされる。

   また、黒糖焼酎「れんと」をつくる鹿児島県奄美大島の開運酒造は、タンクの中の「れんと」に約3か月間クラシック音楽を聴かせて熟成していく「音響熟成」製法を取り入れている。

   「音響熟成」について、同社はホームページで「音楽は振動トランスデューサ(電気‐機械振動変換器)によって音楽周波数の変化が振動に変換され、タンク全体がバイブレーターとなって熟成中の『れんと』に伝わることで熟成を促す」と説明している。

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