日本の企業秘密、もう盗ませない 法改正で「漏えい防止」強化

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   企業の営業秘密を漏えいしたときの罰則を厳しくする不正競争防止法の改正作業が進んでいる。日本企業の独自技術などの秘密情報が海外企業から狙われる例が増え、特にIT(情報技術)社会の進展で情報が漏れやすくなっており、政府は、日本産業の国際競争力を守るため制度改革が必要と判断した。

   2014年11月下旬、経済産業省の有識者による委員会で、不正取得の未遂行為を新たに処罰対象とすることや、罰金引き上げなどが了承された。政府は来年の通常国会に改正案を提出、2016年度にも実施する方針だ。

立証責任についても、改正案に盛り込まれそう

企業の「秘密」を守るためには(画像はイメージ)
企業の「秘密」を守るためには(画像はイメージ)

   改正は、刑事罰の対象拡大と、罰則の強化が2本柱。具体的に、対象拡大では、(1)実際に情報を盗んでいた場合のみだった処罰対象を未遂にも広げる、(2)秘密を国内で不正取得した場合のみ処罰対象だったが、海外での漏えいも対象にする、(3)情報の2次取得者までだったのを3次取得者まで拡大――など。被害者の告訴が必要な「親告罪」も改めて告訴を不要にする。また、新たに製品差し止めについての規定を設け、税関で差し止められるようにする考えだ。

   未遂罪ができれば、情報取得に失敗しても盗もうとした痕跡があれば対象になり、例えば情報を不正取得するウイルスを添付したメールを送りつけたり、情報を管理するサーバーに不正アクセスした場合などだけでも処罰されることになる。

   罰則では、個人が「10年以下の懲役、1000万円以下の罰金」を「15年以下、5000万円以下」程度に、法人の罰金は「3億円以下」から「6億円以下」程度に、それぞれ強化する方向。秘密の侵害による「犯罪収益」の没収規定も新設する。経産相の委員会では「欧州の独占禁止法のように、不正利益の数倍を没収する制度の方が抑止力は働く」との意見も出ており、今後、具体的な制度を詰める。

   経産省は、民事訴訟になった場合の立証責任についても、改正案に盛り込みたい考えだ。これまで、争点となる主要事実の立証責任は被害を訴える原告側にあったが、民間企業には相手の事務所や工場に乗り込む権限がないなど、原告側の情報収集には大きな壁があった。法改正で、被告となる企業や個人に「営業秘密を盗んでいない」ことを証明するよう求めることになる。

法改正だけで被害を防ぐのには限界

   営業秘密を巡っては、韓国の鉄鋼大手ポスコが1980年代から新日本製鉄(現新日鉄住金)の技術者OBに多額の報酬を払って、特殊鋼板の製造技術を不正に取得したとして、新日鉄住金が損害賠償を求めて提訴し、係争中。東芝が提携する半導体メーカーの元社員が最新の研究データを持ち出して、転職先の韓国半導体大手に提供した疑いで今年3月に警視庁に逮捕され、10月には横浜地検が、日産自動車の秘密情報を不正にコピーして転職先の会社に持ち込んだとして、元社員を在宅起訴。ベネッセの顧客情報流出も社会問題化し、刑事事件に発展している。

   経産省が2012年に実施したアンケート(約3000社対象)では、漏えいがあったとの回答が13.5%に達したが、「流出に気付いていないケースもあり実態はもっと多いのではないか」(同省筋)との見方もある。

   今回の改正は、「日本には国家利益の侵害という観点がない」という企業側の不満に遅まきながら応えるものといえるが、サイバー攻撃など情報を盗み出す新たな手法が続々と登場し、その手口も巧妙化の一途。罰則の強化などは当然としても、法改正だけで被害を防ぐのには限界がある。企業側が重要情報に近づける人を制限するといった社内の情報管理体制を改めて点検・強化するのはもちろん、国を挙げてサイバー攻撃に対応する人材育成などの戦略を早急に打ち立てる必要がありそうだ。

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