2024年 4月 25日 (木)

止まらない日本人の生命保険離れ 業界ビジネスモデルはもう時代遅れかも

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   2015年度の生命保険の世帯加入率が初めて9割を切った。また、一世帯の年間払い込み保険料も初めて40万円を下回るなど、少子高齢化や年収の減少などから日本人の「生保離れ」が進んでいることが鮮明になった。

   生保のニーズも旧来の死亡保険から、医療保険や年金保険など生前給付型保険にシフトしている一方、生保に関して「ほとんど知識がない」という人が7割に達するなど、生保業界の常識と消費者のギャップも広がっている。

  • 旧来の大手生保のビジネスモデルが立ち行かなくなってきている?(画像はイメージ)
    旧来の大手生保のビジネスモデルが立ち行かなくなってきている?(画像はイメージ)
  • 旧来の大手生保のビジネスモデルが立ち行かなくなってきている?(画像はイメージ)

初めて世帯加入率が9割割り込む

   生命保険文化センターが「生命保険に関する全国実態調査(速報版)」として、1965年以降、3年ごとに行っている調査で明らかになった。今回は民間保険、簡易保険、JA共済、県民共済などに加入する4020世帯(単身世帯は除く)から回答を得た。

   それによると、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.2%となり、前回調査(2012年度)から1.3ポイント低下。現在の調査方式にした2003年以来、初めて9割を下回った。

   契約者が死亡した場合、家族が受け取る死亡保険金額は2423万円で、前回調査の2763万円から12%減少した。死亡保険金額は2003年に3746万円、2006年に3344万円だったが、2009年に2978万円と3000万円を切った後、大幅な減少が続いている。

   かつて男性は結婚すると、「一家の大黒柱」という考えから、妻子のために「定期付終身保険」など死亡保障がメインの保険に入るケースが多かった。大手生保の営業職員(生保レディ)が勧誘する保険商品も死亡保障が中心だった。

   今回の調査で「世帯主が万一の場合、家族の生活資金として必要な金額」を聞いたところ、生活資金の年間平均額は328万円となった。必要となる年数は平均16.8年で、生活資金の平均総額は5653万円。回答した世帯の平均年収は598万円で、世帯平均年収の9.5年分に当たる。世帯の平均年収は2003年に652万円だったが減少を続け、2012年に589万円と600万円を切った。

   平均年収の低下とともに、世帯の年間払い込み保険料も低下が続き、2003年調査で53.3万円だった年間払い込み保険料は、今回38.5万円と、初めて40万円を割り込んだ。

「死亡保険金」より、「医療」と「生活」のお金を

   生保の世帯加入率や払い込み保険料の低下は、子育てを終え、保険金額を減らした高齢者が増えたことや、晩婚化の影響などで死亡保険に加入しない若者が増えたことが影響しているとみられる。

   直近で生保に加入した世帯にその目的を尋ねたところ、死亡保険よりも医療保険を挙げる割合が増えていることもわかった。生保に加入した目的を「医療費や入院費のため」(医療保険)と答えた割合は58.5%で、「万一の時の家族の生活保障のため」(死亡保険)の53.1%を上回った(複数回答)。医療保険が2006年に死亡保険を抜いて首位となって以来、両者の差は広がる傾向にある。「今後増やしたい保障」は、「世帯主の老後の生活資金の準備」(28.0%)と「配偶者の老後の生活資金の準備」(25.3%)が最上位グループとなった。

   一方、生命保険や個人年金保険に関する知識全般について尋ねたところ、「ほとんど知識がない」との回答が68.6%を占めた。日本では学校教育で保険に関する基本的な知識を得ることがほとんどなく、社会人となって、いきなり生保レディの勧誘を受け、周りと一緒に保険を契約、というのが、これまでの日本の生保ビジネスの実態だった。

   最近、複数の保険会社の商品を比較検討できる保険ショップが人気なのも、旧来の大手生保のビジネスモデルが若者ら現代人のニーズに対応できなくなった証拠かもしれない。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中