「うつ病」休職社員が「ハワイ旅行」に行っていた

2009/4/14 13:25

   「メンタルヘルス休職者がいる企業は6割強」という調査結果がある。なかでもIT業界は、慢性的な人員不足と長期間の激務、仕事のタコツボ化と人間関係の希薄さなどから、メンタル不調者が多い。あるIT企業の人事担当者は「うつ病の休職者の対応に追われてヘトヘトになってしまった」と嘆く。

「飲み会」や「パチンコ」も大丈夫

――わが社は従業員約1万人で、280人の休職者がいます。9割はメンタルヘルス系の病気で、人事担当者は、主治医との連絡や復職に向けた面談などに追われています。いったん復職した人も、来たり休んだりを繰り返したり、机に突っ伏して仕事にならない場合もあって、メンタルヘルス不全の復職者への対応には苦労しています。
   そんな中、先日会社帰りに通りかかったパチンコ屋で、うつ病で休職中の従業員を見かけました。声を掛けると「朝は調子が悪いが、夕方から気分がよくなるので、趣味のパチンコくらいはできる」とのこと。リハビリにはそれもいいか、と思って帰宅しました。
   しかし翌日、他の担当者や管理職に聞いてみると、うつ病で休職中の社員が「飲み会には必ず参加する」とか「家族でハワイ旅行に行っていた」とか、予想もしなかった例が出るわ出るわ!
   産業医は「回復している証拠」と言うのですが、いまひとつ納得できません。こちらは通常業務も重なり、残業が深夜に及んで疲れ果てているというのに…。正直言って馬鹿らしくなりました。果たして、これは本当に「うつ病」と言えるのでしょうか。
   更に悪いことに、休職者をカバーするために、各職場で残業が急増し、対応に追われる上司までがうつ病になるケースも出ています。「なぜ休んでいる奴の給料まで稼がなければならないんだ!」という意見も上がり始めました。現場の不満の高まりを感じながら、毎日ビクビクしながら出社している今日この頃です――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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