2024年 4月 20日 (土)

怒鳴る上司は扱いやすい 「気の弱さ」見抜き対処

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   「バカヤロウ!」「やめちまえ!」などと職場で人目も構わず怒鳴り、部下のミスにネチネチと文句を言い、部下の説明も「言い訳するな!」と封じ込める上司はいませんか。

   「自分の頭で考えろ」と突き放したと思えば、「勝手なことをするな」と大声を出す。そのくせ自分の上司にはヘコヘコし、ご機嫌取りの腕前は超一流。こんな上司の下では、部下はストレスがたまって体調を崩してしまいます。

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真正面から受け止めるとストレスでつぶされる

大切なのは「つぶれないこと」
大切なのは「つぶれないこと」

   このようにして部下をつぶす上司は、俗に「クラッシャー」と呼ばれます。できれば攻撃的な言動を改めてもらいたいところですが、長い年月で作り上げられた言動が急に改善することも期待できません。

   パワハラで訴えることもできるでしょうが、争っている間にこちらが疲れてしまいます。お互いのどちらかが辞めたり異動したりするまでの間、こんな困ったクラッシャーにはどう対応したらいいのでしょうか。


・本人の「弱さ」を理解する

   クラッシャーに共通しているのは、「強烈な自己愛」と「異常に高いプライド」です。そのプライドは高いわりには傷つきやすく、外部や上からの評価が落ちることにいつもビクビクしています。

   それゆえ、職場で問題が起こった場合、自分で責任を引き受けられず、自分の非を認めることも許せないので、代わりに部下などを徹底的に責めることで自分の立場を守ろうとするのです。

   部下を怒鳴りつける行動は、一見して強い人物を印象づけます。しかし、気の弱い犬ほどよく吠えるのと同様、実際には自分の弱さを隠すための行動なのです。本人は小心な臆病者であり、それを隠すために強がっていることを理解することが大切です。


・適当に流す

   そんな傷つきやすいプライドを持つ自己愛者なので、事実であっても本人の欠点や失敗を論理的に問い詰めたり反論したりしてしまうと、さらに激しい怒りを買うだけで逆効果です。

   怒鳴る上司を前にしても、「強がっているだけで本当はかわいそうなヤツだなあ」「上しか見えない哀れなヒラメ人間だ」「怒鳴り散らす姿はダサいだけなのに」と、やや離れたスタンスで憐れむぐらいの目で見るようにし、適当に流して真正面から受け止めないようにするとよいでしょう。

   もちろん憐れむのは心の中だけにして、表には出さないように気を付けましょう。振り回されずに距離を置いて聞けば、怒鳴り声の中から意外と参考になる意見が見つかったりするかもしれません。

対応をマニュアル化し、みんなで力を合わせよう

   クラッシャーには、部下の誰もが扱いに困っているものです。そこで、部下同士が結束して、対応方法を統一することが有効です。

   誰かが責められ始めた場合には、頃合いを見計らって「○○君、お得意先からの電話ですよ」と他の同僚が用事を作って呼び出し、クラッシャーから一時的に緊急避難させるように決めておくのも1つの手段です。

   クラッシャーが爆発するパターンについて知恵を集め、「お腹が空くと怒り出す」「寝不足の翌朝は機嫌が悪い」などの情報を共有すると、むやみに近づかないようにしたり、怒られても「ああ、また寝不足か」と流したりするときに役立ちます。

   傷つきやすさを逆手にとり、皆の経験を結集してクラッシャーの自尊心をくすぐる方法を探ってみることも役立ちます。ワインやスポーツなどクラッシャーが得意とする話題に触れて、知識を披露する場を作ってみましょう。

   運悪く雷が落ちてしまったら、日ごろ悩まされている人同士でグチを言い合い、

「今日はこんなあり得ないこと言われちゃったよ」
「そりゃすごいねえ」

と、腹立たしい出来事も笑い飛ばしてしまいましょう。

   厄介なクラッシャーに振り回されてつぶされてしまわぬよう、便利な対応マニュアルが作れるといいですね。


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今回の筆者:羽岡 健史(はおか・たけし) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ所属。日本医師会認定産業医。メンタルヘルス不全者の職場復帰プログラムの開発とスポーツ精神医学が研究テーマ。浦和神経サナトリウムで精神科医として勤務するかたわら、茨城県庁とニチアスで産業医を務める。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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