2024年 3月 29日 (金)

お客の視点から知る 典型的な「ダメ営業マン」のやり方

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   今回は、最近私が出会った「悪い営業マン」「良い営業マン」を紹介してみましょう。

   個人的な話で恐縮ですが、この6月に何足目かのワラジで、日本一暑い熊谷にHOTなカレー専門店をオープンさせました。ありがたいことに新聞やテレビで紹介されたものですから、それをきっかけに多種多様な業種の方からアプローチが来るわ来るわ。電話、来店、手紙、メール、FAXの嵐で、私が店に顔を出すたびに、様々な「営業」を受ける事態になっております。

忙しい人に「実物を見れば分かる」は通じない

「予算がない」という断り文句の真意は
「予算がない」という断り文句の真意は

   まず頻繁に出会う典型的なダメセールスは、売り込むモノの利点や利用メリットをちゃんと説明できない人。

「とにかく実物を見てください」

の一点張りで、やたらにデモをしたがる営業マンが実は最近ものすごく多いです。特にPRツールとか顧客管理システムの類で目立ちますが、デモ件数のノルマでもあるのでしょうか。

   私はいくら製品デモを売り込まれようとも、必ず「御社の製品やサービスのメリットを、他社の同類の商品との比較で説明してください」と尋ねることにしています。これを聞かれてちゃんと答えられないようでは先に進むことはできません。

   「実物を見ていただければ分かります」とか、根拠もなく「必ず来店客が増えます」を繰り返すだけ。そんな場合は、「悪いけど今うちはそういう(訳の分からないものに使う)予算ないから」で終了です。

   経営者や店主を相手に売り込みをかけるのなら、相手は多忙であるという前提で話をしてください。多忙な人間は、どんなメリットがあるのか分からないもののデモに付き合うほどお気楽ではないのです。少なくとも、ビジネスユースの商品・サービスであるなら、この点を外したセールス成功はあり得ないと心得るべきでしょう。

   「うち安いですよ」と、いきなり価格から入るセールスも信頼感がありません。この場合は少なくとも「なぜ安いのか」をハッキリ分かりやすく話をして、信頼感を持たせていただけないとダメです。「なぜ?」を尋ねると、「とにかくムダを絞っていますから」などと大ざっぱな答えをする営業マンが多いのですが、これでは、かえって怪しい印象を持ちます。

   他社がなぜ高いのか、でもいいのです。初対面なら特に、アバウトな説明は信頼面でマイナスと考えてください。まず論理的であることを、経営者や店主は好みます。「安い」代わりに質の面が多少劣るなら、劣るとハッキリ言えばいいのです。それでもよいというニーズもあるのです。

「質が劣る」と正直に言って成約できたケース

   例えばこんなケース。とある激安の印刷屋さんは、「色校正ナシなので安いのです。その代わり元データと多少色合いがずれることがあります」と正直な説明をしてくれました。

   カレー店は食べ物なのでその条件では難しいのですが、別に手がけているコインランドリーなら利用可能だなと思ったので、「そちらを頼もう」と成約しました。見かけは飲食店でも、外から見えない他の仕事が隠れていることもあるのです。

   あきらめが良すぎる営業もいます。つい先日のこと、電話でセールスを受けて先ほどのデモと同じく「まず会ってください。電話では分かりにくいので直接ご説明します」の一点張り。これも当然先のケースと同様、「事前にどのようなサービスでどのような利用メリットがあるのか、簡単なペーパーでいいから作ってFAX入れて。それ見た上でお目にかかるかどうか検討しますよ」と言った途端、「今回は失礼します」でガチャン。

   どうやら、質問されて売り込める自信がないと思ったというよりも、

「手間がかかるのは面倒くさい」
「時間がかかるなら他に電話した方がいい」

と思った感じでした。電話をして相手から質問をされたというのは、そのサービスをより詳しく知りたいと言っているのですから、本当はチャンスと思わなくちゃいけないのですけどね。

   確かに私は以前のコラム“「ラッキー」をつかむためには、まず数をこなせ”で、「目標を成約数ではなく面談数に置く」考え方を示しましたが、手っ取り早く会える人を最優先しろ、という意味ではありません。むしろ、暇なので二つ返事で会おうという人よりも、忙しいが具体的に注文を出してくる人こそ、脈があると捉えるべきでしょう。

気分よく乗せられたタウン誌のケース

   同じように「ぜひ会いたい」という電話営業に、

「私は手ごわいよ。熊谷まで来る時間と交通費を無駄にする覚悟がないなら止めておきなさい」

と言うと、大抵は「ちょっと上司と相談します」と言ってそれっきりというケースが多いです。

   こんな場合は、「大丈夫です。アポお願いします」と言った方が相手への印象づけになり、こちらも一生懸命聞いてあげなくちゃと思いますから、成約確率は単なるテレアポよりも格段に高くなるハズなのですが、どうもお気づきでない営業マンが多いようです。

   最後に、最近すっかり乗せられ成約させられた、とあるタウン誌の営業の話を紹介しましょう。当店の雰囲気やメニューを事前に研究していたようで、会ってすぐに店をほめながら、ターゲット層やコンセプトをかなりイイ線まで言い当てました。こうなると初対面でも信頼感はかなり出ます。そして、

「その狙いにあった特別広告枠が限定で出たのでお持ちしました」

との案内。「貴店の狙いを分かっています」→「だからコレ」、この流れはポイント高いです(ただし、「そうではなく、こうした方がよい」という相手を否定した提案はダメです)。

   そして極めつけは締切設定。「ご検討いただけるなら、3日間だけ今仮押さえしてみます」とその場で会社に電話して、仮押さえを目の前で実演。

   はじめに限定枠と言われて、さらに仮押さえというダブル限定。しかも3日間という、かなりの短期間。「考えるよ」と言った段階で、気分は既に判を押していたかもしれません。よくよく考えると、彼の話がすべて本当であるとは思えませんが、攻める先の勉強もしているし最近には珍しい優秀な飛び込み営業でした。

※営業を中心としたお仕事の悩みについて、筆者がお答えします。

大関 暁夫

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大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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