リハビリ勤務中の社員に「労働条件の不利益変更」どう説明する?

2012/1/27 11:50

   労働政策研究・研修機構の調査によると、メンタルヘルスに問題を抱えている社員がいると答えた大手企業(従業員1000人以上)は72.6%にのぼるという。メンタルヘルス不調者が陥るパターンで最も多いのは「長期にわたって休職または休職・復職を繰り返す」と答えた会社も11.1%あったそうだ。

   ある中堅企業では、復職したものの元のようなペースで仕事ができない社員が現れたため、リスク回避のために会社のルールを厳しく変えようとしている。しかし、「目の前で苦しんでいる社員」にどう適用すべきか、悩んでいるという。

「新ルールを適用して直ちに退職」と言えるのか

――ソフトウェア開発会社の人事です。相変わらずメンタルヘルス不全で休職する社員が跡を絶ちません。数はだいぶ減ったのですが、やはり一定数は出てしまいます。

   休職者の中には職場復帰を無事果たした社員もいますが、復職をあきらめて退職した人や、復職したものの元のような仕事ができないままの社員もいます。

   入社7年目のA君は、復職して1年半ほど経ちますが、いまだに補助事務、残業ナシの「リハビリ勤務」のままです。病気になる前は部門のエースと評されていましたが、いまはその面影もなく、仕事らしい仕事をしていないと言ってもいいかもしれません。

   そんなA君を、周囲はおおむね温かい目で見守っていますが、

「仕事できないしわ寄せが他の部員に行ってるんだよね」
「再休職させた方がいいんじゃないの?」

という声も聞かれます。

   いまのところ、リハビリ勤務に関するルールはありません。本格復帰が長引いたのはA君が初めてですが、今後のリスクを考えると、できることなら就業規則の休職規定を見直し、リハビリ勤務についても期限を設けたいと思っています。

   そこで問題となるのが、A君の扱い。これからのルールは社員の同意を得ればよいのですが、A君には言いにくいです。トラブルを避けるためには、どういう説明があるでしょうか。また、仮に期限を1年とした場合、それを超過しているA君に「もう期限をだいぶ過ぎちゃってるから退職でお願いね」といえるものなのでしょうか――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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