2024年 4月 23日 (火)

辞め際に「会社都合にしてくれませんか?」と頼まれました

   就職難でようやく仕事にありつけたはずなのに、数年も経たないうちに辞めてしまう若者が少なくない。次の就職先を見つけるのもなかなか難しい中で、当面の頼りになるのが「失業保険」だ。

   ある会社では、入社2年目で退職する営業マンが、退職事由を「会社都合」にして欲しいと頼み込んできた。課長は「別に会社が損することはないだろ」と言うが、果たして大丈夫なのだろうか。

課長も「やってくれないか」と言うけれど

――システム開発会社の人事です。営業のA君は新卒入社で2年目ですが、仕事が合わないということで会社を辞めることになりました。

   営業成績が上がらず、部内の人ともあまりうまくいっていません。課長もいろいろ指導したようですが、改善は難しかったようです。

   管理部門のリストラをしたばかりで、配置転換も難しく、課長からは「退職勧奨しかないかなあ」とちょうど相談があったところでした。

   A君からの申し出を受け、課長は「そうか、仕方ないな。新しい会社で頑張れよ」と伝えたところ、ひとつだけお願いがあると切り出されたのだそうです。

「離職票の退職事由は『会社都合』にしてもらえないでしょうか? 実は次の会社が決まってないんです。自己都合だと失業保険をもらえるまで3か月くらいかかるようですが、会社都合だとすぐ出るそうなので、なんとかお願いします…」

   そこで課長は、確かにA君では転職先もなかなか見つからないだろうと思ったのか、「会社都合でやってくれないか」と頼みに来ました。

   ただ、会社としては、解雇したわけでもないので、厳密に言うとウソの申請になります。課長は「別に会社が損することはないだろ?」と言うのですが、この程度なら許容してもいいものでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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