2024年 5月 19日 (日)

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「バラエティー番組」人身事故続発―瀕死のやけども知らん顔

   オセロ中島とかいうお笑い芸人が女霊能者にたぶらかされたり、マンションの家賃を滞納して追い出されそうになったりしていることを、ワイドショーは連日騒いでいるが、何でこんなものがニュースになり、大勢の報道陣がマンションの前に張り込んだりするのかわからない。いい年をした大人なのだから、ほっとけばいいのだ。餓死したとて自己責任である。

   それよりもテレビのバラエティ番組での人身事故が多発しているのに、いっこうにそうしたバカ番組を止めようとしないテレビのアホさ加減を追及している文春の「フジテレビがヒタ隠す『火渡り』で老人に重傷を負わせた最低の番組」のほうに注目である。

   2月2日、上越国際スキー場の150メートルのハーフパイプ用の急斜面をパンツ一丁のお笑い芸人やすが水上スキー用のゴムボートで滑り降り、物置小屋の屋根に激突した。やすは腰椎破裂骨折、両下肢マヒなどの重傷を負った。この番組はフジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」だった。

   テレビではタレントにロケット花火数千本を背負わせて着火し、1か月の火傷を負わせたり、クレーン車に吊り下げられたスタッフが落下して腰椎骨折したりという事故が絶えない。

   今回問題になっているのはやや古い話だが、03年末から04年にかけて放送されたフジテレビの「退屈貴族」で起きた深刻な事故である。出演者は一般人の74歳の独居老人。都内の河川敷。灯油がまかれて並べられた段ボールが10メートルほど。そこに火がつけられ、パンツ一丁の老人にそこを渡らせたのである。少し歩いた老人は激痛に耐えきれず横に逸れた。そのときすでに火傷は足裏から太ももまで及んでいたという。老人は持参した軟膏をつけただけで歩くこともできず、ディレクターらが背負ってタクシーに乗せ自宅に送った。2万円の出演料を払っただけで、何ら火傷の処置はしないままディレクターらは帰社してしまったのだ。

   その後、老人の容体が悪化して老人の兄によって救急車で運ばれたが、火傷は表面積の3割近くまである重篤なものだった。警察が病院側の通報でフジテレビ側に問い合わせをしたが、フジテレビ側は「該当するロケはない」と回答し、警察は自傷事故として処理してしまった。老人は生死の境をさ迷う。信じられないことにフジテレビは撮影から1か月半近く経ってから、そのシーンを「東洋のランボー」と銘打って放送するのである。 番組を見た視聴者からの「やり過ぎだ」という電話で初めて、フジテレビはそうしたロケがあったことに気づくのだから、このテレビ局の危機管理はなっていない。

   結局、この件で番組スタッフの事情聴取も処分もなかったそうだ。フジテレビは事故を隠すことを選択し、社員はこうした事故があったことさえも知らないそうである。老人は事故から4年後ぐらいに腎不全で死亡する。記事によると「腎機能の低下は火傷によってもたらされたもの」だという。記事はこう結んでいる。

「事故の検証を怠って隠蔽し続ける限り、同じことが再び繰り返されるに違いない」

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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