2024年 4月 26日 (金)

日中韓首脳会談「三方一両損」宿泊ホテルで意地悪、慰安婦問題で作戦負け、空威張り・・・

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   日中韓3か国首脳会議が11月1日(2015年)に韓国で行われた。日本からは安倍首相、韓国は朴槿恵大統領が出席したが、中国からは李克強首相だったのは何となく違和感を感じた。中国では国家主席と首相が役割分担して出席することが慣例になっていることはわかっているが、中国通にいわせると、李首相は中国経済の落ち込みや先の株暴落で権威が失墜し、今や習近平主席の傀儡にすぎないといわれているからである。

   存在感をアピールしようとしたのか、李首相は会談で「一部の国の間でいまだに深い理解が成り立っていない」と日本を批判するなど、高圧的な態度が目立ったような気がした。

   朴槿恵大統領と安倍首相の『対決』はどちらが勝ったのか、『週刊文春』『週刊新潮』を見てみよう。週刊文春によれば、中国側が李は公式訪問、安倍は「実務訪問」なのだから、10月30日はすべて中国と韓国の協議に割いてほしいと主張し、韓国側がこれに応じたため、日帰りでの訪韓を予定していた安倍首相は泊まらざるを得なくなったそうだ。

   外務省から報告を受けた安倍首相は、「もう首脳会議はやらなくてもいい。慰安婦問題は解決済みだ」と怒ったという。さらに、ホテルも米国が定宿にしているグランドハイヤットを希望したが満員で、別のホテルにされたという。安倍首相の訪韓は9年ぶりなのに歓迎式典は催されず、李首相はレッドカーペットを朴大統領と歩くなど歓待を受けたそうだ。

   では、会談そのものの評価はどうか。首脳会談の定例化と来年(2016年)の日本開催では一致したが、歴史認識問題では溝は埋まらなかった。<「共同宣言文には「歴史を直視し、未来に向かう」という文言が盛り込まれましたが、日本は当初「歴史を直視し」を後ろに回してくれと主張していた。しかし、結局、中韓に押し切られてしまいました」(官邸関係者)>

   安倍首相は中国と南シナ海問題で舌戦を繰り広げたが、当然ながら歩み寄りはなかった。慰安婦問題では、韓国側が「年内妥結」を主張したが、これは<「慰安婦問題は解決済みであるとして、『(一度決まった)ゴールは動かせない』と言い続けた安倍首相の『粘り勝ち』です」(現地特派員)>

   週刊新潮も<「首脳会談でその(慰安婦問題=筆者注)解決策を引き出せなかった以上、彼女の作戦は挫折したことを意味します」(大手メディアのソウル特派員)>とし、慰安婦問題の解決策を示さなければ会談をしないとしてきた朴大統領が、その問題を脇に置いて安倍首相と会ったのだから、<「韓国に妥協しなかった安倍外交の勝利に他なりません」(産経新聞論説委員・黒田勝弘氏)>と日本側を評価している。

   ともに安倍首相のほうがやや優勢だったといいたいようだが、懸案事項はすべて先送りでは、会ったという事実だけが残った空虚な会談だったと思わざるを得ない。とくに、李首相と安倍首相の間に流れていた厳しい雰囲気は日中関係の難しさをよく表していた。

「集団的自衛権」さっそく米軍の鉄砲玉!フィリピンン軍と南シナ海防衛の共同訓練

   週刊文春は米中関係も難しい局面に入り、日本はこれから厳しい選択を迫られることになると警告している。それは、米中首脳会談直後に、オバマ大統領が下した判断から生じた。オバマは習が「南シナ海ではわれわれは一歩も譲歩するつもりはない」といい放ったことで、ハワイに司令部を置く米太平洋軍の海軍大将に「南シナ海での『航行の自由作戦』を承認する」許可を与えたというのである。

   横須賀を出航したイージス艦「ラッセン」に「南シナ海を北上し、中国の人工島の12カイリ内を通過せよ」という指令が伝えられ、10月27日に「ラッセン」はスビ礁やミスチーフ礁など、中国の人工島の12カイリ内を1時間ほど通航したのだ。

   中国海軍は艦の後方を駆逐艦と巡視艦の2隻で追尾し、中国国防省が米国のやり方を強く非難したことは記憶に新しい。だが、これから長期化するであろう米中の睨み合いで、米国が強く期待するのが日本の役割分担だと週刊文春はいう。先に訪日したフィリピンのアキノ大統領と安倍首相の間で、将来、自衛隊によるフィリピン駐留を見据えた訪問軍地位協定が確認されたという。その3週間後に、海上自衛隊鹿屋基地所属のP3C哨戒機と隊員20人がフィリピン西部の島で比軍と共同訓練したそうである。ここから中国が埋め立てを進める南沙諸島までは300キロほどしか離れていない。

   米国は南シナ海での哨戒活動に日本も加わるよう盛んに求めているそうだが、そんなことをすれば丸腰でヤクザの事務所へ乗り込むようなもので、<「国民の十分な議論のないままに水面下でリスクのある計画が進んでいくことには疑問も感じます」(海上自衛隊関係者)>というのも当然である。

   アメリカの鉄砲玉として日本の自衛隊が使われる。そんな悪夢が現実のものになる日が近づいている。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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