2024年 4月 25日 (木)

東京証券取引所 世界最大NY取引所に飲み込まれる

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   米ニューヨーク証券取引所を運営するNYSEグループのジョン・セイン最高経営責任者(CEO)が2006年10月3日、「今後3~5年以内に東京証券取引所と業務提携する」と記者会見で発言し、東証内に波紋を広げている。セイン発言は、09年の東証の上場をにらみ、東証との資本提携を含む業務提携を目指す考えを示したものだ。東証は「欧米の証券取引所の合従連衡に続き、再編の波はアジアに向かうのは必至だ」と警戒感を強めているが、巨大化する欧米の取引所の再編はとどまるところを知らず、東証が飲み込まれる恐れもささやかれている。

   セイン氏は「ドル、ユーロ、円の3大通貨圏で、証券取引所の提携や関係強化が3~5年以内に実現すると思う」と述べ、東証の西室泰三社長とも水面下で事前交渉を進めていることを明らかにした。東証関係者は「3~5年と発言したのは、09年の東証の上場を指している。だが、NYSEが提携や再編のシナリオをそんなにゆっくり進めるとは思えない」と、動揺を隠せなかった。

欧米の証券取引所で再編が加速している

東証がNYSEに飲み込まれる?
東証がNYSEに飲み込まれる?

   欧米の証券取引所では世界最大のニューヨーク証券取引所と、欧州のユーロネクストが06年6月、経営統合することで合意、米ナスダックがロンドン証券取引所の株式を取得するなど再編が加速している。ユーロネクストには、統合を拒否してきたドイツ取引所が合流する動きもある。巨大化する欧米の取引所を目の当たりにした東証はアジアの主要取引所と提携を進め、仮に欧米グループとの交渉が避けられなくなった場合でも、一定の主導権を確保することを目指している。

   「アジアで有力な地位を確保できなければ、グローバル化で主導権を握れない」とする東証は、韓国や台湾などアジアの証券取引所との連携強化を急いでいる。7月に韓国取引所と連携を強化する包括協定に調印。相手市場に上場する企業の株式を相互に売買できる制度の創設や両取引所の資本提携などを視野に交渉を始めた。その後、中国の深圳(しんせん)、上海に続き、台湾の取引所とも提携交渉に入った。

北東アジアの取引所同士の提携を目指す

   西室社長は「双方の取引所が株式を持ち合うなど、すべての可能性を検討したい。将来は北東アジアの取引所が提携できたらよいと思う」としているが、市場関係者の間では「株式の持ち合い以前に、提携といっても、例えば東証を通じて韓国の銘柄を売買する投資家のニーズが本当にあるのか」との声もある。誤発注などのトラブルを踏まえ、東証が09年から運用を開始する予定の次世代システムを、韓国に採用してもらうことなども協議しているが、今のところ、進展はない模様だ。
   西室社長は「アジアを代表する証券取引所として、我々の競争相手は世界の取引所であり、競争の中で負けているわけにはいかない」など、NYSEを意識した強気の発言を繰り返している。だが、先行するアジア各国との提携で実績を示せなければ、NYSEなど欧米との再編に東証が飲み込まることになりかねない。

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