2024年 4月 27日 (土)

携帯電話の「0円」見直し 総務省研究会の前途多難 

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   「0円」で投げ売りする携帯電話の販売手法が、結果的に消費者だけでなく、携帯電話に関係する産業全体に不利益をもたらしている――。こんな疑問から総務省は、2007年から「モバイルビジネス研究会」をスタートさせた。膨大な販売奨励金を元手に携帯端末を値引きする商慣習が通話料を高止まりさせ、消費者に負担を追わせているほか、携帯電話を製造する電機メーカーの国際競争力も奪っており、携帯電話のビジネスモデルを包括的に見直す必要があるという問題意識だ。ただ、複雑に絡み合った利害関係を解きほぐすのは容易ではなく、解決への道筋を提言できるかどうか、論議の行方は混沌としている。

仮想移動体通信事業者が参入してくる

「モバイルビジネス研究会」の前途は多難?
「モバイルビジネス研究会」の前途は多難?

   研究会は07年2月2日、NTTドコモソフトバンクモバイルから現状についてヒアリングした。両社とも、販売奨励金に問題があることを率直に認めたものの、急激なビジネスモデルの変更は各方面に影響が大きく、次のビジネスモデルも見つからないと慎重姿勢だった。このため委員から「どうすればできるかを考えるべきだ」と苦言が呈された。
   携帯電話事業者は、本体価格が4万~5万円、地上デジタル放送「ワンセグ」の視聴可能なモデルは7万円以上とも言われる端末をメーカーから買い取り、販売代理店を通じて1万~2万円台で販売している。事業者から支払われる1台約4万円の販売奨励金を原資に、販売代理店は安く端末を販売できる。

   しかし、この奨励金は、携帯電話を契約した利用者が支払う通話料に最終的に転嫁され、携帯事業者が回収している。「短期間で携帯端末を次々と買い換える人は安く購入する恩恵に浴するが、同じ端末を大事に長く使う人は割高な通信料を払い続けており、不公平だ」というのが、総務省の見立てだ。

   このため、まず手始めに検討されているのが、「SIMロック」の解除だ。現在主流の第3世代携帯電話には、電話番号などの利用者情報を記録したICカード(SIMカード)が入っており、同じ端末を一定期間使ってもらおうと、携帯事業者がカードの取り外しを制限している。この制限を外せば、SIMカードを販売するだけで携帯電話事業に乗り出す「仮想移動体通信事業者(MVNO)」の参入も促される。MVNOとは、通信設備を持たず、既存の事業者から通信網を借りて通信サービスを提供するものだ。総務省はMVNOに関係する関係法令の運用指針を改定しており、新規参入を容易にして携帯事業者3社の寡占状態を崩し、通話料の引き下げや多様なサービスの登場を期待している。

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