2024年 4月 27日 (土)

卒論代行はびこる背景 大学が指導していないから?

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   大学の卒論やレポートの執筆を有料で引き受ける代行業者の存在が明らかになり、そんな業者を可能にしてきた大学のあり方が問われる事態になっている。ある業者はサイト上で「大学が教育に値する指導を行なっていない」などと弁解、ネット上でも、議論が広がっている。

「卒論代行」と打ち込むと次々と業者が出現

   読売新聞は2007年8月18日付の夕刊で「卒論代行業者現る」というタイトルの記事を掲載した。
   そこで、J-CASTニュースが、ヤフーの検索で「卒論代行」と打ち込むと、次々に代行業者とみられるホームページが出てきた。あるサイトでは、「大学生の皆さんの卒論やレポートの代筆を承っております」として、卒論やレポートの「指導」や「サポート」でなく、「代行」であることを明確にうたっている。それによると、卒論が500字2500円以上、レポートが500字2000円以上で、代筆期間はそれぞれ1週間から、3日から可能としている。そして、「社員は学生時代に必要最低限の勉強量で優やAを取ってきた精鋭ぞろいです」とアピールしている。
   読売新聞の取材を受けたとサイトで明らかにしている業者は、サイト上で「レポートまたは卒論/修論の雛形を、迅速、正確に作成致します」と打ち出している。「雛形」とはいえ、「作成した卒論の雛形はそのままお使いいただける程度のものに仕上がっております」としており、事実上の代行と言える。料金の例として、論文が2ヶ月で20万3千円から1週間で60万円まで、レポートが2週間1万300円から3日間3万円まで。スタッフは、有名大学の大学院生としている。
   このほか、読売の記事が出てから、慌てて削除したとみられる業者のサイトもいくつかあった。
   文部科学省大学振興課では、卒論・レポートの代行について、J-CASTニュースの取材に対し、「代行というのは、許されるものでない」とコメント。一方、検索サービス大手のグーグルでは、07年5月から代行業者とみられる広告を禁止する措置にした。同社は、J-CASTニュースに対し、「卒論のコンサルティング、サポートでなく代行の場合、それで単位を取れるのはフェアでないと考えました」と説明する。また、検索大手のヤフーでも、「丸投げされた卒論を書くビジネスには問題があると考えており、業者の広告が見つり次第断り、今後もお受けしない方向」と話している。

「卒論の代筆は十分可能」と大学教員

   ブログなどでは、このような代行業者が出現した背景について、議論が沸き起こっている。卒論・レポートの代行については、問題ありとするブログの意見が多い。しかし、代行業者がはびこる実態については、大学側への厳しい指摘が見られる。
   ある大学教員男性は、自らのブログで、「問われなければならないのは、そう言う『裏技』が出来てしまう大学の仕組みの方じゃないのかな」と切り出す。そして、次のように嘆くのだ。

「最近話題の水増し合格が、センター試験だけで合否判定する大学の責任が大きい、と言うのとちょっと似てる。10年放置されてきたどころか、複数業者がやって行けてるとしたら、やっぱりそう言う環境の方に問題ありでしょう。不正卒論を除籍にする前に責任ある指導体制を作りなさいな。ていうか、見破れないんじゃないかな」

   また、別の大学教員はブログで、

「周りのゼミでは、日常の経過報告はそこそこやっているにせよ、提出前のチェックをやっているところはほとんどないはずです。だから、決して煽るわけではありませんが、卒論の代筆は十分可能だと思います。また、提出されたあとの玉稿?に目を通すどころか、表紙だけ見てさっさと成績(=A)をつけるセンセーもいらっしゃるかと思います」

と衝撃的なことを述べていた。
   読売新聞の取材に応じた前出の代行業者は、「2007年8月18日の読売新聞夕刊記事に関して」という一文をサイトに掲載、次のように大学側を断罪した。

「お客様の中にはアカデミックハラスメントを原因として当社のサポートを需要なさる方などもいらっしゃいましたが、大学が教育に値する指導を行なっていないため、卒業論文やレポートをこなすだけの能力を備えていないというお客様が大半でした。
また、弊社も必ずしもお客様の専門とする教科の人間を担当にあてられるというわけではありませんので、回答の質を担保できない場合もありますが、これといった問題もなく、審査する大学があまりにも杜撰なのではないかと思われます。
大学側としては、本当に代行に気づいていないのか、気づいていて見てみぬふりをしているのかわかりませんが (おそらく後者ではないかと思われますが)、現在の大学卒業の学位がもつ価値を扱うに値する資格があるとは思えません」

   J-CASTニュースでは、この業者にさらに取材しようと、サイトにある業者の連絡先に電話したが、8月20日は何度かけても留守番電話だった。

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