2024年 4月 20日 (土)

株主優待制度使って社会貢献 資生堂、ロート製薬、アサヒビール

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   株主優待制度を通じて株主にも社会貢献(CSR)に協力してもらおう、という社会貢献型の株主優待制度が増えている。社会貢献活動団体への寄付などが中心で、野村インベスターズ・リレーションズ(IR)によると、2007年8月末時点でCSR型の株主優待制度を設けている企業は、資生堂アサヒビールロート製薬センチュリーリーシングシステムなど約15社に上る。

アサヒビール、環境基金への寄付コースを導入

株主優待制度でCSRを推進する例が増えている
株主優待制度でCSRを推進する例が増えている

   野村IRは 「特にどの業界に多いという傾向は見あたりません。環境関連への寄付行為が多いようですが、自分たちの事業に結びついている団体への寄付が目立ちます」と話す。

   

   たとえば、アサヒビールは03年12月期の対象株主から、「株主様限定特製ビール」やグループ商品の「詰め合わせ」などのプレゼントに加えて、「アサヒビール環境基金『水の惑星』」への寄付コースを導入した。株主優待相当額(100株以上1,000株未満1,000円相当、1,000株以上2,500円相当)を寄付に充てており、「100万~200万円になります」(同社広報部)という。

   日本システムディベロップメント(NSD)は07年9月末時点の株主を対象とした株主優待制度に、千趣会と提携して行っている優待商品のプレゼントに加えて、新たに非政府組織(NGO)「プラン・ジャパン」が取り組んでいる教育支援活動等に寄付する社会貢献(CSR)コースを追加した。

   同社は06年9月末時点の株主から、株主優待制度を導入、今回が2回目。保有株数100株以上200株未満を1年未満保有した場合には1,000ポイント、200株以上500株未満で1年未満の保有の場合は2,000ポイントなどと、株主は株式の保有数と保有年数に応じたポイントがもらえ、ウェブサイトを通じてポイントに応じて好きな商品が選べる。これにCSRコースとして「寄付」が加わった。1ポイント1円相当で換算する。 NSDは「昨今のCSRへの関心の高まりと、これまでは1,000ポイントないと商品に換えることができなかったが、これを500ポイントからでも利用できるようにした」(社長室)と、導入のきっかけを話す。

盲導犬育成にロート株主が協力

   07年4月、1頭の盲導犬が育成課程を卒業しデビューした。ロート製薬が06年3月末から導入した株主優待の社会貢献活動への寄付制度を使って育成した盲導犬の「第1号」だ。同社は年2回、1,000株以上を保有する株主に対して、5000円相当の自社製品のセットか、社会貢献活動団体への寄付のどちらかを選んでもらう。

   盲導犬1頭あたりの育成費は約200万円が必要で、「毎回約400人以上の株主に協力いただいています」(広報部)という。同社はふだんから社員が任意で募金活動に取り組んだり、チャリティーオークションの収益金を会社とのマッチングギフトで寄付したりするなどの活動を行っている。現在の寄付先は「日本アイメイト協会」だが、「今後ようすを見ながら(対象先の拡大などを)検討したい」という。

   広報担当者は「頂戴したメールなどを読むと、賛同していただけているようですし、当社のCSRを理解していただく一助になっていると感じます」と語る。

   資生堂は1,000株以上の株式を保有する株主を対象に「資生堂オリジナルセット」を贈呈しているが、これに加えて05年度から「社会支援団体への寄付コース」を設けた。寄付コースを選ぶと、株主は「SHISEIDO社会貢献くらぶ『花椿基金』」を通じて、一人あたり5,000円を寄付する。同社の場合、株主とともに、ふだんからグループの社員が任意で花椿基金に積み立てている資金をあわせて贈る。

   06年度にはDV(ドメスティック・バイオレンス)に悩む女性を支援する「全国女性シェルターネット」に338万5,000円を寄付。07年度は「全国色素性乾皮症連絡会」への寄付を予定している。同社広報部は「法人や海外の投資家の中にはモノでない方法での優待を望んでいる方もいて、その対応もあります」と話す。 株主としての立場や権利を行使して、経営陣に企業の社会的責任に配慮した経営を求める社会的責任投資(SRI)に関心を寄せる投資家も増えており、社会貢献型の株主優待制度を導入する企業は今後も増えそうだ。

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