2024年 4月 29日 (月)

配当金の代わりに「新米」 「コシヒカリ社債」が登場

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   福島県の農業生産法人グリーンサービスは2008年4月にも、配当金の代わりに年1回自社で生産した「新米」を届ける「お米社債」を発行する。発行する社債は1口20万円の私募債券で、期間は3年。出資者は毎秋に、同社が生産した会津産コシヒカリの新米10キロを受け取ることができる。いわばお金に代わる「現物支給」になるが、これにも問題がないわけではない。

利回りはゼロ%、お米は株主優待のようなもの

「新米」を届ける「社債」も登場(写真はイメージ)
「新米」を届ける「社債」も登場(写真はイメージ)

   グリーンサービスの新國文英社長は「お米社債」について、「利回りゼロ%の社債で、配当のお米は、いわば株主優待のようなものです」と説明する。07年10月に試験的に発行した「お米社債」は、新國社長の「口コミ」で友人・知人ら11人が購入した。調達した220万円は肥料代などに充てている。

   仮に米の価格を10キロ5000円とすると利回りは4%になるから、現状では一般の社債よりもかなりの「高利回り」といえる。また今後、長期金利が上昇した場合には、「配当のお米を10キロから20キロにしたり、年2回届けるようにしたりするよう検討したい」というのだ。

   社債の配当で「現物支給」はめずらしいが、米の収穫高によって「配当」ができなくなる可能性はないのだろうか。J-CASTニュースの取材に、新國社長は「それはありえない」と断言。「会津は豊作と凶作の差がないところで、過去に1993年の冷夏のときもしっかり収穫してきた地域なんです」と、自信満々に話す。

50人以上の応募だと法的規制がかかる

   「新たな消費者の発掘につなげたい」と「お米社債」の主旨を説明する新國社長。出資者の拡大が消費者の拡大になると期待するが、そのことが悩みのタネでもある。

   金融庁は、「社債であれば、届け出は必要です」という。ただし、金融商品取引法では50人以上(6か月以内の複数回の募集を含む)を勧誘する場合を「募集」と定義とし、各地の財務局への「届け出」を義務付けている。

   グリーンサービスの「お米社債」は、「社債」といっても出資者が49人以下の私募債券なので、いまのところ金融商品取引法上の有価証券としての届け出は不要。出資者へは「預り証」の発行で済んでいる。そのかわり、ダイレクトメールやインターネットのホームページ、ましてや金融機関の窓口などで出資者を「募集」することはできない。一般の人が「お米社債」を買おうと思ったら、「1回でも当社のお米を買って、取引先になってもらう必要があります」(新國社長)。つまり、「身内」が出資者であることで有価証券としての「届け出」義務を免れているというわけだ。

「農業に関心をもってもらうことやわたしたちのやり方に意見を届けてくれることが大事だと考えています。(反響が大きくなって応募者が殺到すれば)それはそれでうれしいでしょうが…なんとも言えませんね」
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