2024年 4月 20日 (土)

枝川二郎のマネーの虎
借りてはいけない住宅ローン(下)米国の住宅ローン減税15兆円 日本はいくらか知ってますか

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   「(住宅ローン減税は)住宅取得時における納税者の負担を軽減するため・・・(中略)・・・所得税額から控除するものです。」

   住宅ローン減税について財務省はホームページでこう書いている。しかしこれほど事実とかけ離れた表現はない。なぜなら、わが国の住宅ローン減税は非常にお粗末なものだからだ。

イギリスやフランスでさえ兆単位の減税

   たとえば2008年に住宅ローンを借りた場合、税額控除は10年間で最高で合計160万円までしか認められない。つまり10年をかけて戻ってくる税金は年平均16万円にしかならないということだ。住宅を購入した側からすると、10年間確定申告で労力を使っても、戻ってくる税金は数千万円の住宅購入代金と比べれば数%程度。そのくらいで「納税者の負担を軽減」などと軽々しく言ってもらいたくない。

   これがアメリカだと100万ドル(約1億500万円)以内の住宅ローン借り入れであれば、ほぼ無制限に利子控除がある。支払った利子が所得から控除され、その分の税金が安くなるという仕組みだ。ローン期間や年収などの制限は一切なく、たとえば35年ローンだったら35年間ずっと税金が控除される。合計で1000万円以上戻ってくることもザラだ。そのため、アメリカでは国全体の住宅関係減税額は合計で15兆297億円(2003年)にものぼり、国民に大きな恩恵を与えている。

   それに比べて日本は2桁も少ない7080億円(2002年)に過ぎない(データは住宅生産団体連合会による)。しかも、わが国ではこのところ控除の枠が年々減らされているので、今はこれよりさらに大きく減額していることは間違いない。イギリスやフランスのように人口も国内総生産(GDP)も日本の半分以下の国でさえ兆単位の住宅減税がなされているのに、これはいったいどうしたことか。

   政府は道路や橋には兆円単位の出費を惜しまないくせに、国民生活の基本となる住宅のことはまったく眼中にないらしい。

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