2024年 4月 26日 (金)

「セレブ妻」心神喪失で無罪濃厚 「なぜ」という疑問ネットで噴出

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   東京・渋谷で起きた夫バラバラ殺人事件の公判で、妻の三橋歌織被告(33)に対し無罪が言い渡される可能性が高まっている。検察側の鑑定医が「心神喪失」と認定し、東京地裁も検察の再鑑定請求を却下したからだ。ただ、ネットでは、最近不可解な殺人事件が多発していることもあってか、凶行に対し「納得がいかない」との声が続出している。

ネットでは、無罪見通しに異論相次ぐ

三橋歌織被告の無罪の可能性を報じる新聞各紙
三橋歌織被告の無罪の可能性を報じる新聞各紙

   新聞各紙が起訴事実として報じたところでは、三橋歌織被告は、2006年12月 12日、自宅マンションで夫の外資系金融会社社員、祐輔さん(当時30歳)の頭をワインボトルで殴って殺害、遺体を切断して遺棄した。事件当時は、「セレブ妻」によるバラバラ殺人事件と話題になった。裁判では、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われており、08年4月10日の公判で論告求刑や最終弁論が行われ、結審する見通しという。

   歌織被告側は、夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受け、犯行時は心的外傷後ストレス障害(PTSD)だったとして、心神耗弱か心神喪失の疑いを主張。ところが、検察側の鑑定医も3月10日の公判で、歌織被告の意識障害や幻覚を認め、犯行時は「心神喪失」状態だったと認めた。一方、完全に責任能力があったと主張する検察側は24日、地裁に再鑑定を請求したが、地裁は27日の公判で、その請求を却下した。これに対し、各紙が歌織被告は無罪となる可能性が高いと報じたのだ。

   ネットでは、この判決見通しについて、異論が相次いでいる。ポータルサイトgooの討論広場「ニュース畑」では27日、生命を奪ったという行為の責任からは逃れられないはず、などと無罪を疑問視する投稿者の声を紹介した。このほか、「(殺人犯が)世間に野放しにされるのは住人としては大変怖い思いをする」などと、防犯上の見地から問題を指摘する投稿もあった。さらに、心神喪失なら処罰できないとする刑法39条を廃止してほしい、との突っ込んだ意見が寄せられた。

   ヤフーのQ&Aサイト「知恵袋」でも、「殺人事件とかで頭がおかしかったら無罪って変じゃないですか?だいたい、人を殺すような人なんて、どっかおかしいに決まってますよ」との質問が掲載されており、1万2000人以上が閲覧するほど関心を呼んでいる。

最近では、アルコールについて心神喪失を認めず

   刑法に詳しい板倉宏日大大学院法務研究科教授は、歌織被告の判決見通しについて、「たぶん無罪だと思います」と報道同様の見方をした。その理由について、板倉教授は、「被告人質問で、(歌織被告は)意味不明のことを述べていましたし、裁判官も検察の再鑑定請求を却下しているからです。刑法39条では、心神喪失と裁判官が判断すれば、無罪になります」と述べた。

   一方で、裁判官は必ずしも鑑定医の意見に拘束されないともいう。「『心神耗弱』と判断することもありえます。その場合、死刑を言い渡すことはできず、一番厳しい刑でも無期懲役です。私の考えでは、懲役7年ぐらいの判決になるのではないかと思います」

   いずれにせよ、精神異常が認められれば、無罪か減刑になる。ネットなどでは、こうした判決に異論が出ているが、板倉教授は、「心神喪失のときは無罪が原則、というのが大方の法学者の見解です。善悪の判断がつかず、行動をコントロールできない場合は、刑事責任は問えないと考えるからです」と話す。

   そんな中、一部で刑法39条に異議を唱える研究者らはいる。九州工業大学の佐藤直樹教授(刑事法)は2006年6月、「刑法39条はもういらない」との著書を出版した。また、ジャーナリストの日垣隆氏は5年前、心神喪失を口実にした例を暴くノンフィクション「そして殺人者は野に放たれる」を書いている。

   歌織被告以外でも、最近、心神喪失について議論が巻き起こっている。例えば、名古屋市のイラン人塗装工(34)が3月17日、岐阜地裁から「覚せい剤の影響で心神喪失の状態にあった」と強盗などについては無罪を言い渡されたケースだ。ただ、板倉教授は、「この場合は、『何も覚えていない』からといって無罪にするのはおかしいと思います。責任能力は完全にあると考えられるからです。むしろ珍しいケースで、最近では、厳しい世論を考慮して、アルコールについても心神喪失を認めなくなっています」と指摘する。

   裁判員制度が導入されれば、ネットで見られる市民感情などを反映して、裁判の流れが変わるのだろうか。

   板倉教授は、「まだ分かりませんが、心神喪失などの判断について厳しくなるかもしれませんね」と話した。

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