2024年 4月 29日 (月)

損を覚悟 楽天がTBSに 株式買取請求の可能性

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   TBS株を2割近く保有する楽天にとって吉か凶か――。TBSが2009年4月1日に認定放送持ち株会社に移行すると発表したことで、にらみ合いが 続く両社の関係が一気に打開に向かう可能性が出てきた。TBSの認定放送持ち株会社化に反対する楽天には、会社法のルールで、保有するTBS株を買い取ってもらう権利が発生する。このため両社の交渉しだいでは、楽天がTBSに株式の買い取りを迫り、「売り逃げ」を図るのではないかとの見方が出ている。

保有株を「公正な価格」で買い取ってもらえる

   認定放送持ち株会社は、08年4月の改正放送法の施行で認められた規制緩和の新制度だ。民間企業が複数の民放局を支配することを禁じた「マスコミ集中排除原則」を緩和し、一定の条件を満たせば、総務相が放送局の純粋持ち株会社を認定。その下にキー局はじめ複数の放送局を子会社として傘下に置くことができる制度だ。

   言うまでもなく、この制度は放送局にとって都合がよい。持ち株会社に出資する株主の議決権は3分の1未満に制限されるからだ。これを楽天対TBSのケースに当てはめれば、仮に楽天がTBS株を買い進めたとしても、議決権ベースで拒否権を握ることはできないことを意味する。TBSにとって、認定放送持ち株会社への移行は、買収防衛策を導入するのと同じ効果が得られるわけだ。

   対する楽天にとってのメリット、デメリットは何か。楽天は議決権ベースで制限を受ける制度への移行など認められない。会社法のルールでは、今回のTBSのような重要な組織再編には、臨時株主総会を開いて特別決議を行う必要がある。楽天が特別決議に反対した場合は、反対株主の利益を守るため、保有株を「公正な価格」で買い取るようTBSに求めることができる。これが「株式買取請求権」だ。

問題は買い取り価格がいくらかだ

   楽天がこの権利を行使するか否かが、今後の焦点。問題は買い取り価格の決定だ。現行の会社法には「公正な価格」を決めるルールはない。楽天が買い取りを請求するとすれば、09年4月1日の認定放送持ち株会社移行前の20日前から前日までとなる。低迷が続くTBS株価だが、09年3月の市場環境しだいでは楽天有利となる可能性がないわけではない。もちろん両社が適正価格で折り合わない可能性は高く、その場合は最終的に法廷で決着を図ることになる。

   05年10月に楽天がTBS株を一気に買い占めた当時と比べ、現在の株価は4割以上も下落し、現時点で楽天がTBS株を売却すれば500億円の売却損が出ると言われている。だが、楽天はTBSに「乱用的買収者」とみなされ、買収防衛策を発動されないよう、20%を超えて株式を買い進むことができず、かと言って、株式を売却する有効な出口が見つからない状態が続いている。TBSの認定放送持ち株会社への移行を機に、楽天が損切り覚悟で株式買取請求権を行使する可能性は高い。

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