2019年 9月 22日 (日)

大学進学率は20%でいい  「下流大学」に税金投入価値なし
(連載「大学崩壊」第3回/消費社会研究家の三浦展さんに聞く)

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   子どもの数は減っているのに大学の数や定員総数は増えている。そんな逆転現象が続いている。行き先を選ばなければ全員が大学に入ることができる、全入時代が目前だが、税金が投入される大学は、そんなにたくさん必要なのだろうか。「下流大学が日本を滅ぼす!」(ベスト新書)の著者で消費社会研究家の三浦展さんに問題点を聞いた。

親の学費負担を含め、大学進学が社会の活力を奪っている

「若者たちには生きていく力を養ってほしい。そのためには教育制度を大胆に変える必要がある」と話す三浦展さん
「若者たちには生きていく力を養ってほしい。そのためには教育制度を大胆に変える必要がある」と話す三浦展さん

――少子化傾向が続いて 1980年代末には毎年200万人いた高校生が、今は120万人です。にもかかわらず、1990年代の規制緩和以降、大学数は当時約500校だったのが200校以上も増えました。大学の学部定員総数も、1993年度に約47万8000人だったのが、2008年度には約57万人にまで膨らんでおり、入る大学や学部を選ばなければ進学希望者は誰でも大学に入学できる全入時代にほぼなっています。にもかかわらず、私大の定員割れは全体の50%近くに達しています。大学の数はこんなに必要なのでしょうか。

三浦   明らかに多すぎます。勉強しなくても大学に入れる状況なので、学力のない学生を量産しています。親の学費負担などで社会の活力を奪っている面もあります。一定の学力のある学生だけ入学させるようにして、それで大学が半分つぶれてもいいと私は思います。そうでないと、大学行政は、不要な高速道路を大量に造って国民の借金を増やしてきた、あの悪名高い道路行政と同じではないでしょうか。

――「大学の下流化」とは、偏差値の低い大学が増えたという意味ですか。

三浦   いいえ、いわゆる三流大学が増えたということではありません。成績がいいか悪いかではなく、基本的な学力すらない、そして向上心や学ぶ意欲そのものが低い学生を生み出している大学行政、教育行政全体をそう呼んでいます。今では東大ですらそういう傾向があります。

――学習意欲そのものが低い学生が増えたのはなぜでしょうか。2002年度に小中学校にまず導入された「ゆとり教育」のせいだ、との指摘をマスコミ報道などで見かけますが、どうお考えですか。

三浦   ゆとり教育のせいにするのは議論のすり替えで、悪いのは大学側の姿勢です。出来が悪い学生がイヤなら入学させなければいいだけの話です。大学から見て学生の質が下がったように見えるのは、定員割れを避けるためにそうした学生を入学させているからです。子どもの数が少ないから、昔なら早慶にしか行けなかった子でも東大に行ける。早慶には昔のマーチ(MARCH:明治、青学、立教、中央、法政)のレベルの学生が入ってきて…とどんどん落ちて行き、もっと低いところの大学は学生が不足してしまうから誰でも入れる、という構図です。大学も学生も「下流化」が進むのです。
   定員や入学者を減らせば大学の経営が苦しくなるとか、教授たちの食い扶持が減るとか、そんな理由で自分たちの保身を優先しておきながら、「ゆとり教育でバカが増えて困る」と大学関係者が嘆いてみせても説得力はありません。しかも彼らは、学力不足の学生が増えている実態をあまり発信しようとはしません。自分たちが批判されることを恐れているからです。
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