2024年 4月 29日 (月)

シャープとソニーの合弁また延期 両社の関係は微妙に?

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   シャープとソニーが2009年6月末を期限に交渉を進めていた液晶パネル生産の共同出資会社の設立契約締結が延期になった。両社が交渉しているのは、シャープが大阪府堺市に建設中の薄型テレビ向け液晶パネルの最新鋭工場で、ソニーはシャープの同工場から液晶パネルを調達するため、シャープと共同出資会社を設立し、同工場の運営に参画することでシャープと08年2月に合意していた。シャープ首脳は「世界経済の変動を受け、ソニーの内部で詰めに時間がかかっている。でも基本路線は変わっていない。ソニーのキャッシュフローの問題で、先方からの回答を待っている状態だ」と解説する。

共同出資会社の設立も「10年3月まで」に1年先送り

   両社の出資比率はシャープが66%、ソニーが34%となることが既に内定しており、当初は08年9月末までに最終契約を結び、09年4月に共同出資会社を設立する予定だった。ところが、08年秋以降の世界同時不況で、ソニーが「市場の動向を慎重に見極めたい」との姿勢に転じたため、09年6月末までに契約締結期限を延期し、共同出資会社の設立も「10年3月まで」に1年先送りとなった。

   政府は国内の製造業を中心に在庫調整が進み、景気は底を打ったとしているが、6月末時点でもソニーは「最良の投資タイミングを見極めたい」と、慎重姿勢を崩さなかった。両社の関係を「婚約」に例えるなら、挙式日程が2回も先送りされたことになり、両社の関係に暗雲が垂れこめたとの見方も浮上している。

   シャープが堺市に建設中の工場は、ただの液晶パネル生産拠点ではない。シャープはこれまで三重県亀山市の亀山工場で付加価値の高い液晶パネルを生産。国内の最新鋭工場で他社をリードする製品を生み出すビジネスモデルは「亀山モデル」として知られ、同社のブランド向上に結びついた。ところが、亀山工場が老朽化したのに伴い、この生産設備を将来的に中国に移転。堺工場は「第10世代」(亀山工場は第6世代)と呼ばれる最新鋭の大画面の液晶パネルを生産する世界でも最大級の工場とし、シャープは「ポスト亀山」の「堺モデル」を構築する世界戦略を描いている。

10月にはシャープ単独で工場を稼働させる

   シャープはソニーとの合弁会社設立が当初予定よりも遅れたため、09年10月には単独で工場を稼働させることを決めているが、投資額約3800億円の応分の負担をソニーに求める基本姿勢は変えていない。

   大手電機メーカーの09年3月期決算はシャープ、ソニーを含む8社が赤字となった。この中で、シャープは10年3月期について「日本や中国など当社の強みが生かせるマーケットで、引き続き2ケタの販売台数伸長を目指す」(片山幹雄社長)と、液晶テレビ販売で強気の戦略を崩していない。民間調査機関の調べでは「世界の液晶テレビ市場は1月に底入れした」との見方が有力で、中国など新興国の需要は旺盛のようだ。しかし、ソニーは09年度の液晶テレビの販売目標を、08年度実績比で20万台下回る1500万台に引き下げる慎重姿勢を示している。

   これまでソニーは韓国サムスン電子との合弁会社から液晶パネルを調達するなどしてきたが、昨秋までの需要拡大を前提に、シャープとの合弁で新たな調達先を確保しようとした経緯がある。ソニーは6月末、「シャープとの合弁の予定に変更はない」とコメントしているが、世界需要が予想に反して低迷すれば、ソニーがシャープの堺工場への出資や調達の規模を縮小することも考えられ、シャープは世界戦略の見直しを迫られる可能性もある。

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