2018年 10月 16日 (火)

医療用漢方薬が保険適用外 価格が3倍以上治療に支障?

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   医療現場でも広く使われている漢方薬が、政府の事業仕分けで健康保険の適用外の方向とされ、医療界から反発の声も出ている。価格が3倍以上になって、治療に支障が出るというのだ。どこまでが本当なのか。

   漢方薬が保険適用外の方向になったのは、行政刷新会議ワーキンググループが2009年11月11日に行った事業仕分けの中だった。そこでは、湿布薬やうがい薬とともに、漢方薬の保険適用がやり玉に挙がった。

適用外になれば全額自己負担になる

署名を嘆願しているサイト
署名を募集しているサイト

   漢方薬などは調剤薬局やドラッグストアでも医療用の類似薬が販売されており、医師が保険を適用して処方する必要性が乏しいというのだ。そのうえで、市販品類似薬を保険外とする方向性を結論づけた。ただし、どの範囲の薬を適用外にするかについては、今後、厚労省などで議論すべきだとしている。

   これまで、患者は、保険適用の漢方薬では、3割を自己負担するだけで済んだ。ところが、適用外になれば、医師からの処方箋もいらず自由だが、全額自己負担になるということだ。つまり、ある範囲の医療用漢方薬がすべて、一般用医薬品(OTC)の漢方薬になる。

   日本東洋医学会によると、保険適用の漢方薬は149種類、OTCが200種類ある。そして、OTCと同じ成分の適用薬が多いため、149種類のほとんどが適用外になるのではないかとみている。

   医師の7~8割が現在も漢方薬を処方しているとされ、保険適用外の方向について、医療界からの反発は強い。

   まず、漢方薬には、西洋医学では治しにくい病気に効いたり、それを補完したりするものがあることだ。例えば、ぼうこう炎では、抗生物質より漢方薬の方がしっしんは出にくいとされる。また、乳がんでは、抑うつ状態を解消する漢方薬があり、抗がん剤を補完できる。さらに、副作用があったり、長期の経過観察が必要だったりする漢方薬もあり、この場合、医師の診断が必要になってくる。

   こうしたケースでも、保険適用外になると、患者が漢方薬を利用しなくなって、治療に支障が出るのではないかというのだ。

保険削除されたら「間違いなく倒産する」と訴える

   日本東洋医学会など4団体では、「われわれ国民の健康を守るためになくてはならない」として、2009年11月20日から保険適用外に反対する署名活動を始めた。27日現在で、4万人の署名が集まったという。行政刷新会議が近く最終結論を出すとされていることから、12月1日に長妻昭厚労相に署名簿を提出する予定だ。7日にも追加分を出す予定で、10万人以上の署名を目指している。

   民主党では総選挙期間中、マニフェストの別冊で、漢方を推進していく方針をうたっていた。これに対し、東洋医学会の寺澤捷年会長は、ホームページ上の声明文で、「今回の答申が万一採用されたならば、それは国民に対する重大な裏切り行為」と指弾している。

   刷新会議が方向性を出した後は、漢方薬会社などの株価が大幅に下落した。薬事日報のサイト記事によると、10%前後も下がった最大手のツムラでは、芳井順一社長が11月12日の中間決算説明会で、「保険削除されたらツムラは間違いなく倒産する」と訴えている。

   一方、OTCの7割を扱うドラッグストア業界では、保険適用外の方向性を歓迎しているようだ。

   日本チェーンドラッグストア協会では、「基本的には賛成」としており、近く結論を出す予定だ。その理由として、広報担当者は、「健康保険の財源を安定的に維持していくことが必要だからです」と説明している。

   ブルームバーグの13日付サイト記事によると、最大手のマツモトキヨシホールディングスの吉田雅司社長も、決算会見で適用外の方向を「そうあるべきだ」と述べた。協会と同様な理由を挙げているが、OTCの比率が高まって売り上げ増につながることもあるとみられる。業界関係者によると、現在は漢方薬では、1割以下のOTCが、3~4割に増える可能性もあるという。

   この関係者は、市場全体では、漢方薬の利用が減るものの、コスト意識から、薬漬けなどの弊害がなくなるとしている。ただ、高齢者には、漢方薬を控えたために病気の進行が進む危険も認めており、もし適用外とするなら、こうしたことも含めて抜本的な対策が求められそうだ。

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