2024年 5月 8日 (水)

住宅ローン返済猶予のカラクリ 実は現在と何も変わらない

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   景気悪化による勤め先の倒産や工場閉鎖、収入がなくなったり、減ったりしたことで、住宅ローンの返済負担に苦しむ人が増えている。そうした中で衆院を可決した返済猶予法は、住宅ローンの借り手にこの上ない「助け舟」になるはずだったが、どうもそうはならないらしい。

   返済猶予法は2011年3月までの時限措置で、中小・零細企業や住宅ローンの利用者が借金の返済猶予を求めた場合、銀行などが貸付条件の変更にできる限り応じる「努力義務」を課している。つまり、借り手の求めに応じるも応じないも交渉次第というわけ。しかし、ある地方銀行の幹部は「返済猶予に応じた結果、かえって返済負担が増してしまう可能性が少なくない」という。だからといって、断わってばかりでは銀行批判につながるし、金融庁からもお咎めを受けると困惑する。

借り手がラクになるとは限らない

   リーマン・ショック後の不景気で収入が減って、住宅ローンの返済に苦しむ人は急増している。実際に、ある保証会社では2009年夏に条件変更を実施した件数が前年に比べて3倍に上った。それもあって、住宅ローンも返済猶予法の対象に加えたのだが、法律には「実施する」ことだけが明記され、具体的な対応は銀行に丸投げされている。

   前出の地銀幹部は「正直、困っている。中小企業向けよりもこっちのほうが厄介だ」と漏らす。当初は、中小企業向けに付けられた政府保証などの支援策が住宅ローンにも適用される方向で検討されていたのに、結局なくなったため、現行実施している住宅ローンの見直し策と何ら変わらない対応しかできないからだ。

   現在、銀行が応じている住宅ローンの返済負担の軽減策は、返済期間の延長と月々の返済額の見直しくらいしかない。しかも、必ずしも見直しに応じられないし、借り手がラクになるとは限らない。

   たとえば、返済期間を延長する場合では、住宅ローンに付いている団体信用保険(団信)が弊害になることがある。団信は借り手のいざという時に、代わりに残債を返済してくれる保険だが、適用が70歳までなのでそれを超えるような期間延長には応じられない。

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