2024年 4月 21日 (日)

外国人が母国に残した子どもも対象  「子ども手当」不正防止できるのか

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   鳩山政権の目玉政策である「子ども手当」法案の審議が大詰めを迎えている。満額支給の場合、5兆6000億円の財源が必要なビッグプロジェクトだ。ところが、「日本在住の外国人が、母国で子どもを扶養している場合も支給対象になる」ことが国会の場で明らかにされ、波紋が広がっている。特に自民党からは、「海外に50人子どもがいたら、50人分払うのか」と、制度のずさんさを指摘する声が上がっている。

   子ども手当は、中学生以下の義務教育過程の子どもを対象に、月額2万6000円を支給するというもの。初年度の2010年度は、半額の1万3000円を支給する(児童手当含む)。現在、10年度向けの法案が審議されている。

公的機関が発行した証明書や送金記録を示すことが必要

   法案では、受給する子どもの住所についての規定がない「児童手当」の制度を踏襲しており、これが問題化しているのだ。厚生労働省の児童手当管理室では

「児童手当と同じように、国籍は要件ではなく、親が我が国に居住しているかどうかが要件。子どもが国外にいても、送金して面倒をみている事実が確認できれば支給対象になる。日本人の子どもが海外に留学している場合と同じです」

と話しており、日本在住の外国人の親が、海外で扶養している子どものための手当を受け取ることが出来るという訳だ。

   この問題は、10年3月5日の衆院厚生労働委員会でも問題化した。自民党の田村憲久議員が、

「『納得いかない』という住民の声として、『子ども手当が、日本に来られている外国人の方々が自国で育てている子どもにまで支給される』(ということがある)。これは民主党でも話題になっているようであります。これは事実ですか、大臣?」

と質すと、山井和則政務官が

「これは事実でありますが、児童手当の時と同じ形にしています」

と、やはり事実を認めた。

   手当の支給窓口になるのは地方自治体で、支給の可否も、基本的には自治体が判断する。外国在住の子どもに対して支給する場合、公的機関が発行した証明書や送金記録を示すことが必要だ。田村議員は、この点についても、きちんと運用できるかどうか危機感をあらわにした。

「向こうに子どもが50人いた」もOK?

「児童手当(の支給の可否)を判断するために、住民票とか健康保険証とかを翻訳して持ってきてもらっている。でも、『日本語に翻訳しているのは誰だ?』って話なんですよね」

と、偽造のリスクを指摘。その上で、組織的に、外国人から大量の申請が寄せられる可能性にも言及した。

「シンジゲートなどができて『いい加減な書類で通っちゃうんだ』となる。市町村がこれ(申請書類を)見ますから、(偽造かどうか)わからないんですよ。国みたいに全部チェックできない。外国人労働者が沢山いる地域もある。いっぺんに来たらパニックになる」

その上で、裕福な外国人が多額の手当をもらう可能性についても述べた。

「アラブの王様あたりのお子さんあたりが、こちらで知的労働して数千万かせいで『向こうに子どもが50人いた』ってなると、50人が(支給の)対象になるんですよね?」

これに対して、長妻昭厚労相は、「支給要件をきちんと確認するように、地方自治体に通知を出すことを考えている」などと述べるだけで、実質的な答弁はできないに等しい状態になってしまった。なお、質問した田村議員は、「『色々なお金持ち』という意味で申し上げた」と、「アラブの王様」という表現を撤回している。

   この状況に対して、野党からは「留学生の母国が一夫多妻の国で、奥さんや子どもが沢山いたらどうするのか」「脱北者が北朝鮮に残してきた子どもは?」と疑問の声が相次いでおり、失笑の声も漏れている。

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