2024年 4月 26日 (金)

記者クラブ「オープン化」急進展 最後に残るのは官房長官と宮内庁

   記者クラブに加盟していない記者も記者会見に参加できる「オープン化」が官公庁で続々と進んでいる。プライバシー保護などの問題で、もっともオープン化が難しいとみられてきた検察ですら、オープン化の方針を打ち出した。現段階でオープン化がされていないのは、宮内記者会など、ほんのわずかになった。「完全オープン化」に向けた障害はどのあたりにあるのか。

   最高検察庁は2010年4月22日、全国の地検と高検に対して、会見のオープン化についての通知を出し、翌4月23日には、最高検のウェブサイトに「今後、準備が整った庁から、順次、記者会見の開催要領及び参加手続き等について、しかるべき方法でお知らせします」などする文書が掲載された。

申込書以外に社員証をカラーコピーして郵送

   同日、東京地検のウェブサイトに、会見参加方法を記した文書も掲載された。文書によると、司法記者会所属の記者以外も、日本新聞協会、日本インターネット報道協会などの加盟社に所属する記者や、これらの報道機関に署名記事を提供しているフリーの記者も、事前登録手続きをすれば定例会見や臨時会見に参加できる。

   ただし、他官庁では、ファクスでも手続きが出来るのに対して、東京地検では、申込書以外にも、社員証をカラーコピーして郵送する必要がある。さらに、「記者会見参加規約」には、

「当庁に来庁している事件関係者の方々のプライバシーを保護する必要があるため、記者会見場以外には絶対に立ち入らない」 「記者会見中に会見状況を画像、音声又は電子情報等で配信しない」

といった、他省庁にはない厳しい条件がある。ツイッターで会見を中継する「tsudaる」ことも、事実上禁じる内容だ。

   だが、記者会見の開放を長く求め続けていたビデオジャーナリストの神保哲生さんは、

「99%は目的を達成したようなもの。『動画が撮れない』といった、個々の事業者にとって不利な状況はあるが、これは記者会見のオープン化が民主主義に対して果たす役割とは別に考えるべき」

と、オープン化自体を高く評価している。具体的には、いわゆる「検察リーク」の位置づけに大きな影響があると見ている。

「リークされたと見られる記事が載っていれば、会見の場で『これは事実ですか』と質せばよいのです。ですが、会見が記者クラブに閉じられていた時は、これすらできなかった」

宮内記者会「もう少しお時間をいただきたい」

   各省庁では、09年後半から「オープン化」が続々と進んでおり、総務省が10年3月に公表した「記者会見のオープン化の状況についての調査結果について」によると、14機関が記者クラブ所属外の記者が参加・質問できる「A」とされている、一方、記者クラブ加盟社の記者以外は参加できない「D」と評価されたのは、内閣官房(官房長官)、宮内庁、法務省(地方検察庁、矯正管区)の3機関。今回、そのうちの一角が崩れた形で、官房長官会見についても、総務省の資料には「参加者の拡大について検討中」とある。ただし、前出の神保さんは

「オープン化された首相会見は数ヶ月に1回の開催なのに対して、官房長官会見は1日2回。そうなると、長官会見に出る記者は、日常的に官邸に出入りすることになります。単に平野官房長官が嫌がっているだけではなく、(警備上の)ロジスティックス上の問題があるのかも知れません」

と話しており、見通しは不透明だ。最後に残るのが、皇室関係の記者会見を仕切っている「宮内記者会」。現状で加盟社以外が参加できない理由や、オープン化する予定などについて問い合わせたところ、同記者会は、

「この問題については、記者会として精査をしているところであり、もう少しお時間をいただきたい」

とコメント。今後、何らかの動きがあることに含みを持たせている。

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