2024年 4月 26日 (金)

100円で書籍まるごとスキャン 申し込み殺到し数か月待ち

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   アマゾンの電子書籍端末「キンドル(Kindle)」やアップルの多機能情報端末「アイパッド(iPad)」が国内で発売され、電子書籍の話題で持ちきりだ。一方で日本語コンテンツが少なく、書店に並ぶすべての書籍が読めるようになるのはだいぶ先になると見られている。そんな中、低価格で1冊まるごとスキャンするサービスが登場して、人気沸騰中だ。

   大和印刷は1冊100円でスキャンを代行する「ブックスキャン(BOOKSCAN)」を行っている。100円で請け負うのは350ページ以下の本で、超える場合は200ページごとに100円が追加されるが、それにしても安い。利用方法は、ウェブサイトで会員登録し、申し込みと入金を済ませて、大和印刷に本を送るだけだ。

大学や出版社からの依頼も多い

   スキャンしやすいように本は裁断され、1ページずつスキャナーで読み込んでいく。PDF化されたデータはメールかDVD―Rで受け取ることができ、パソコンや「アイパッド」、「キンドル」などの電子書籍リーダーで閲覧できる。パソコン内で検索したい人は、オプション料金100円でOCR(透明テキスト化)処理も可能だ。

   スキャンできるのはA4サイズ以下の書籍で、折りページがある場合、そのページはスキャンできないなどの制限がいくつかある。スキャン後に書籍は廃棄処分される。

   依頼主は個人がほとんどで、1回あたりの申し込み数は1冊、2冊が多い。中には1000冊以上という人もいる。書棚の本を整理したい人や、海外出張の予定がある人、視覚障害者の需要もある。テキスト読み上げツールを使うと、点字化されていない書籍も、読書を楽しむことができるからだ(ただしOCR処理が必須)。個人以外では、大学や出版社からの依頼も多い。

   注文が相次いだこともあり、納品期間は6月4日まで5か月も要していた。やや改善したものの、現状でも2か月半という。人気の理由は1冊100円という破格の安さだ。実現できた秘けつは何なのか。

「現状ですと黒字化していないので、胸を張って言えるものは恥ずかしながらありません。サービス開始前に行った2000冊のテストを踏まえて算出した価格でしたが、想定よりも作業時間がかかってしまい、ひとつずつシステム化している最中です。裁断機やスキャナーのソフトなども当初は、市販品を使っていましたが、現在では、効率を考えて自社でカスタマイズし、時間短縮を模索しています。1年以内の黒字転換を目指してがんばっていきたいと思います」

と大和印刷の担当者は言っている。

1冊90円のサービスも登場

   1冊90円のスキャン代行サービス「スキャポン」も登場した。A4以下の書籍が対象で、350ページまで90円、200ページごとに90円追加される。裁断してスキャンし、PDF化する。90円でOCR処理ができるオプションもある。

   本棚にある書籍に限らず、ネットショップ「アマゾン」や「楽天」で新たに購入した書籍の配送先をスキャポン指定の住所にすると、自宅を経由せずにスキャンをお願いすることができる。スキャン後、裁断された書籍は廃棄されるが、返却を希望する場合は送料着払いで返送もしている。

   申し込みは1日200~300人、問い合わせは1日80件にのぼる。個人需要が多く、1回あたりの平均冊数は自宅の書籍の場合が20~30冊で、中には1000冊送ってくる人もいる。「アマゾン」や「楽天」の通販書籍は1~3冊が多い。

   人気のサービスだが、申し込みが殺到してオペレーションが回らなくなり、6月8日まで受付をいったんストップした。本棚書籍のスキャン代行については6月9日から予約という形で受付を再開したが、通販書籍については目途が立っていない。

   また、価格の見直しも行う予定だ。90円に設定したのはオプション利用を見込んでいたからで、実際には1冊140~180円を想定していた。ところが、事情を知らない多くの人に「激安」という印象を与えてしまい、一部の人から「データを使いまわすことを前提にビジネスモデルを構築している」と指摘を受けた。

   スキャポン運営事務局は、

「誤解を招く価格だったことは、弊社としても反省しています。現在、オペレーションの問題もあり申し込み受付を一旦停止しておりますが、価格設定についても一部見直しを予定しています」

と話している。

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