川崎市バス、「ミス続出」なぜだ? 「うっかり」「気の緩み」が止まらない

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   経路ミスなどの問題が続出している川崎市バスをめぐり、市長から「ミスが続くなら民間移管」という穏やかではない言葉が飛び出した。この言葉の「本気度」は不明だが、ここ半年ほど、様々な改善策を講じているにもかかわらず、いっこうに状況が改善されない。市議会でもたびたび問題にされており、ついにバス事業に「イエローカード」を突きつけた形だ。

市長も「責任負えない状態になる可能性」に言及

   川崎市バスでは10年度に入ってから、経路ミスなどの運行ミスが相次いでおり、その件数は2010年6月から12月6日までに48件にのぼっている。阿部孝夫市長は12月6日に行った定例会見の中で、

「あれだけミスが続くと、市長として責任を負えないという状態になる可能性もある」
「ミスが続くようならば、民間移管も考えなければならない」

などと異例の苦言を呈した。もっとも、「もうちょっと注意すれば(ミスを)防げるのでは」と述べており、この「民間移管」発言が、どの程度本気なのかは不明だ。

   だが、この48件の内訳をみると、中にはにわかにも信じがたいものもある。ミスが目立ちしたのは6月のことで、それ以降(1)運行ルートや時刻が記載された「運行指示書」の確認(2)行き先の復唱(3)車内放送に右折や・左折についての情報を加える(4)早朝の点呼に交通局幹部が同席する、といった対策を講じている。それでもミスが止まらないことから、8月からは、ルートを誤りやすい交差点に局幹部を立たせた上で、ミスをしやすい交差点の前で運転手が声を出す「行き先アナウンス指定交差点」を定めた。

   ところが、9月下旬には、川崎鶴見臨港バスに管理委託している営業所の男性運転手(36)が、同じ交差点で2度にわたって経路をミス。1回目は直進すべき所を左折、2回目は左折すべきところを直進したというものだ。この交差点は、前出の「行き先アナウンス指定交差点」に定められていたが、運転手は、2回とも交差点でのアナウンスを怠っていた。

   さらに、11月中旬には、男性運転手(43)が左折すべきところを右折。経路ミスの連絡を受けた営業所は、本来のルートに戻るように指示したが、この運転手は再び道を誤り、結果的には始発地点に戻ってきてしまった。

   12月6日には、指導員が同乗していたにもかかわらず、43歳の男性実習生が左折すべきところを直進。指導員は営業所に断ることなく勝手に運転を交代し、近くの空き地で方向転換した。

市議から「バス事業が公営である必要あるのか」との声

   市が10年8月末に公表した調査報告書によると、経路ミスをした16人の運転手に対して原因を聞いたところ、「漫然と運転、うっかり、気のゆるみ」「思い込み」「運行指示書の確認不足」といった答えが大半だ。

   9月14日の市議会でも小林隆交通局長が

「経路誤りはすべて運転手のうっかりミスによって発生しており、その背景として、業務へのなれや緊張感の欠如などが考えられる」

と分析しているが、前出のように、経路ミスは減らないままだ。市議会では市長や交通局長がたびたびトラブルについて陳謝しているが、市議からは

「民営化の声が高まるのも必然と考えますが、バス事業が公である必要性について伺います」(9月27日・決算審査特別委員会)

との声すらあがっている。

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