2024年 5月 1日 (水)

OGBC河瀬隆社長に聞く
技術系の派遣は有望市場だ

   人材派遣業は規制が強化されるなど、厳しい経営環境におかれている。そうした中で、大阪ガスグループの大阪ガスビジネスクリエイト(OGBC)はIHIグループの技術系人材派遣会社「ホホエミー」の株式を取得して子会社化し、2011年3月1日から大阪ガスエクセレントエージェンシー、通称「OGXA」(オグザ)として新たにスタートした。

   OGBCの河瀬隆社長に、人材派遣業の現状と新会社の舵取りについて聞いた。

規制強化が、働き方自体を狭めてしまっている

OGBCの河瀬社長は「いろいろな働き方があっていいはず」と語る
OGBCの河瀬社長は「いろいろな働き方があっていいはず」と語る

―― 「人材派遣業」の現状について、どのように見ていますか。

河瀬 人材派遣業は一時、「派遣切り」が社会問題化したこともあって、製造業への派遣や登録派遣へのあり方が見直され、規制が強化されようとしています。しかし女性をはじめ、さまざまな事情でフルタイムで働くことができなかったり、通える職場が限定されたりする人が「派遣」という働き方で職を得ていることは現実です。企業側の派遣に対するニーズも少なくありません。
   正社員への道を拓く紹介派遣への対応も進んでいます。雇用の点で、派遣業はいまやその一翼を担っています。かつて、偽装請負が問題化したときも、請負という働き方そのものが非難されて規制が強化されました。そういった規制強化が、働き方自体を狭めてしまっているように思います。人材派遣業は規制に翻弄されています。

―― 関西における現状はいかがでしょう。

河瀬 厳しい状況です。規制強化への対応もありますが、企業の東京への一極集中の影響もあります。人材派遣業のニーズの多くは東京です。つい最近も大阪を地盤とする製薬会社が神奈川県に研究所を移すなど、進んでいます。関西エリアの雇用機会そのものが減っていくことになるので痛手です。

―― 技術系の人材は一時人手不足が指摘されていました。そこは解消されたのでしょうか。技術系人材派遣の現状はいかがでしょう。

河瀬 一般的に、技術系人材の登録が少ないことは確かです。ただ、それは技術系の人が派遣という働き方よりも正社員を目指すといった事情があります。半面、企業の技術系人材へのニーズは高いものがありますから、市場は有望といえます。
   技術系の人には紹介派遣やアウトソーシング(請負)という働き方も視野に入れた就職活動があることを知っていただくことや、研修による育成型の人材派遣を考えていくことも必要だと考えています。

―― 具体的には、どのような施策を考えているのでしょうか。

河瀬 まずは東京の強化があります。傘下に置いたオグザは東京の売上げが4分の1を占めています。強みの技術系人材を生かして、ここを伸ばしていきます。
   一方、関西エリアでは、大阪ガスやOGBCの知名度を生かしてシェアを高めていきたい。すでに事務スタッフを派遣している会社から数社、技術系人材の要請があります。新たなマーケットをつくるという気概をもって臨んでいきたいと思っています。

第2新卒と中小企業とをマッチングさせたい

―― 就職難です。派遣会社ができる支援策にはどのようなことがありますか。

河瀬 派遣会社には人材のマッチング機能があります。たとえば、関西には多くの中小企業がありますが、どこも新卒採用では苦戦しています。メディアがこぞって、「新卒学生の就職先がない」と伝えているにもかかわらず、です。
   そこで第2新卒と中小企業とをマッチングできるよう、大学や専門学校などとの提携を考えていきたいと思います。それがわたしどもの社会的責任であると考えていますし、新卒学生に限らず、この就職氷河期にどうすれば雇用拡大に貢献できるのかを常に考えています。

―― オグザを迎えてスタートした、新生OGBCはどんな会社になりますか。

河瀬 大阪ガスグループの一員として長年培ってきた業務のオペレーション力や、ITと情報通信の技術力、施設運営とイベント企画などのプランニング力を融合した総合力が持ち味です。これまでは事務系スタッフを中心に業績を伸ばしてきました。
   「オグザ」(旧ホホエミー)とは昨年(10年)7月に経営統合に向けた話し合いがはじまり、約半年でここまで漕ぎ着けました。「オグザ」は機械、建設、医薬、さらに病院や大学などの研究施設の業務やCADによる設計や製図業務といった技術系の人材サービスを提供してきました。今回の経営統合で、さらに人材の厚みが増すことになります。
   また技術系は単価(給与)も高く、収益強化にもつながります。
   当面、OGBCとオグザはそれぞれに別個に活動していきますが、運営はOGBCグループの一員として一体的に行っていきます。

―― 新会社の将来像をお聞かせください。

河瀬 信頼度ナンバー1のビジネスサポート会社を目指します。オグザとのシナジー効果を発揮かしながら営業力を高めるとともに、人材サービスとオフィスサービス、情報通信・ITソリューション、施設運営や不動産管理などの6つの領域を統合した、付加価値の高いアウトソーシングサービスを提供していきたい。
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