2024年 4月 25日 (木)

節電対策どころか逆効果 実は危ない、サマータイムや打ち水

   生活を1時間前倒しにするサマータイム実施や打ち水は、節電対策としては逆効果――。こんな試算結果もある。東京電力管内などの一般家庭で努力目標とされる「前の年より15%減」を達成するにはどうすれば良いのだろうか。

   「打ち水」した結果は1%増、サマータイム実施は23%増。独立行政法人の産業技術総合研究所が2011年6月にまとめたシミュレーション結果のうち、家庭(戸建て住宅)の電力需要に関する数字だ。節電効果が出るどころか、かえって増えている。

サマータイムは早く帰宅した人の家庭電力需要を増やす

東電管内の節電目標は達成できるのか。
東電管内の節電目標は達成できるのか。

   試算は、東京電力管内を想定している。サマータイム実施は、会社の電力は10%減らすのだが、その分早く帰宅した人の家庭での電力需要を増やす結果となった。家庭(集合住宅)で27%増などとなり、会社を含めた全体では4%増えてしまう。

   打ち水の試算は、「13時に1平方メートルあたり1リットルの水をまいた」場合についてまとめた。家庭(戸建て住宅)では1%増の結果となった。湿度を上昇させ、「エアコンの負荷を増大」させたためだ。

   ただし、10時にまいた場合は「わずか」にマイナスとなる。17時の場合もほぼ同様の効果がある。

   さて、目標の「15%減」にするにはどうすれば良いのだろうか。窓にすだれを使うなどの「窓日射遮へい」と通風換気(エアコン使用前)、「エアコン設定温度を28度に」の3つをすべて行った場合、家庭(戸建て住宅)では17%減になる。

   しかし、同じ家庭でも集合住宅の場合は13%減にとどまる。あと2%分はどうすれば良いのだろうか。同研究所ではこれ以上触れていないので、資源エネルギー庁にきいてみた。

節電15%達成で景品あたるキャンペーン

   エネ庁では、戸建てか集合住宅かは区別せず、「家庭」の節電対策と効果をまとめている。研究所試算で取り上げられた以外の項目をみると、冷蔵庫対策(「設定を強から中へ」など)で2%減、待機電力削減(主電源を切るなど)で2%減といった具合だ。先の3対策と組み合わせれば15%減にはなんとか届きそうだ。

   ちなみに「無理のない範囲で」エアコンを消し、扇風機を使った場合は50%もの削減効果があるそうだ。

   ところで、「節電は、最大電力需要の時間帯だけ行えば良い。1日中節電する必要はない」という議論をよく見かける。電力需要が最大となる14時前から15時あたりまでだけ節電すれば良いのだろうか。

   同庁の省エネルギー対策課は、「1日を通じた節電を心がけつつ、特に9時から20時の節電を」と呼びかけている。最大需要が「14時ごろ」なら、節電を呼びかける時間帯が長すぎないだろうか。

   同課によると、電力需要が最大となるのは確かに14時ごろだが、前後の時間帯も最大値に極めて近い高い値を示す。11時から16時ごろまでは、ほぼ「最大値」付近で横ばいともいえる状態だ。

   16時以降は、全体の需要は減るものの、家庭では19~20時ごろのピークに向けて逆に増えていく。20時ごろまでの家庭での節電がなければ、全体の需要が16時以降も下がっていかない事態にもなりかねないというわけだ。

   経済産業省は7月1日、家庭の節電に関するインターネットサイト「節電.go.jp」の本格運用を始めた。サイトに登録し、15%減の節電を達成した人には、協賛企業が無償提供する液晶テレビなどが抽選であたるキャンペーンも実施している。

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